二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

第ニ章 ( No.19 )
日時: 2010/12/05 13:10
名前: 双海 (ID: BdM.OEZp)

 そんな女々しいことを考えていたら突然
「あ、そうだったわ!」
そう言い、彼女は立ち上がった。
 内心驚きつつも、どうしたの、と冷静に尋ねる。
 一方彼女は焦りながら、
「ごめん、レン!私、行かなきゃいけないところがあるの!」
と言う。

 彼女は時計をちら、と見て、もうこんな時間!と独り言を言う。
 時計は、もうすぐで昼時になるところだった。
 慌ただしく、リビングから出て行く彼女を目で追いつつ、現状を整理する。

 僕は重い紙袋を抱え、立ち上がる。
 彼女はまたリビングに戻って来て、早口で捲し立てる。
「ごめんね、長話しちゃって。私行かなきゃいけないところがあるの。あ、そうだ。お腹空いたでしょう?」
「あ、いえ…」
「これ、パン!食べて!」
 僕の言葉を聞く余裕すらないのか、返事すら聞かずに言う。

 いらない、そう言おうとしたが、さっきの買い物で食料を買える程のお金はなくなってしまった為、
「ありがとうございます。」
と言って受け取りに彼女のもとへ向かう。
 断ったって無理にでもパンを受け取らせようとするだろうから、彼女の好意に甘えることにする。
「…。」
 僕が受け取りにいったと言うのに、彼女は渡してくれない。
「あの…?」
 僕が狼狽しているのが見て取れたのか、彼女は自分の口元を指差す。
 そして、口を動かす。
 け、い、ご。彼女は口パクでそう言った。
 そこはしっかりしているんだなぁ、なんてことを思いつつ、僕はありがとう、と言い直した。