二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

第一章 ( No.2 )
日時: 2010/11/28 15:20
名前: 双海 (ID: BdM.OEZp)

 とある国の王宮で、それは行われていた。

 一人の村人が礼をし、話し始める。
「本日は私のような一般人を受け入れてくださり誠にあり…」
「そんなことはいいから、早く本題を言ってちょうだい。」
 村人の声を遮り、王女は低い声でそう言った。
 その声に村人の体はびく、と跳ね、王女の機嫌を伺うように、下を向いていた顔を上げる。
 そして、さっきと変わらない表情の王女を見て、安堵したような表情を浮かべる。

 どうしていちいち機嫌を伺うなんてことをするのか。
 それはこの王女が、冷酷である、と恐れられているからだ。
 王女の機嫌を損ねれば首を跳ねられる、ということもありうる。

 じゃあ、どうしてお前はその王女と村人の話を聞いているのだ、と疑問を持つ人がいるだろう。

 僕はその王女の召使だからである。

 まぁ、召使だから、この場にいる、という訳ではない。
 現に、僕の他の召使は、この場には呼ばれていない。
 僕は村人がもし王女に危害を加えようとしたら、それから王女を守れ、といわれ、ここにいる。
 といっても、僕の他に、沢山の兵士がこの場にいるからもしものことがあっても僕の出番はないと思うが。

 まあ、そんなことはどうでもいい。

 僕は、まだ話しださない村人に目をやる。
 口を開いては閉じ、開いては閉じを繰り返す村人。
 今日の為に考えたと思われる台詞を王女により遮られ、どう話していいかわからなくなったのだろう。

 だが村人は、王女の
「まだかしら?」
という声に、言葉を選びながらゆっくりと話し始めた。

「ほ、本日は王女にお話があって、この王宮に来ました。」