二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

第三章 ( No.22 )
日時: 2010/12/12 16:23
名前: 双海 (ID: BdM.OEZp)


 僕の足の上に何かが落ちて、僕は我に返る。
 それは、紙袋から転がり落ちたであろう、林檎だった。
 林檎を拾い、紙袋の上に乗せる。すると、目に入ってきたのは、同じく紙袋の上に乗せておいた一つのパン。
 それを見た瞬間、腹の虫が鳴き、さっきから何も食べていなかったのに気付く。

 紙袋の上のパンを手に撮り、頬張る。
 少し硬めのそれは、喉に引っかかり飲み込みにくい。
 それに不快感を覚えつつも、そのパンを頬張り続ける。
 やはり、お腹が空いているのには勝てないし、なにより、彼女にもらったものだから。
 彼女のことを思い出したら、あの二人の姿が浮かんだしたが、その姿を彼女の笑顔で塗り替える。

 ごく、と最後の一欠片を飲む。
 そして、流れゆく景色を眺めようとしたのだが…。

「あれ…?」

 そう呟き、辺りを見回す。
 そこには、見慣れた王宮があった。
 ふと、御者と目が合う。そして、着きましたよ、と言う。
 その様子からして、今着いた所なのだろう。
 僕は礼を言い、紙袋を持ち王宮へと入って行った。

 僕は、真っ先に食料庫へと向かう。
 鍵を開け、食料庫へ入ると、
「……。」
思わず溜め息がでる程、沢山の食料がそこにあった。
 なんだよ、沢山あるじゃないか…。そんな悪態を心の中で吐きながら、食料を置く。
 そして食料庫に鍵を掛け、王女の部屋に薔薇の花を届けに行くのだった。

 王女の部屋へ行く途中、教会の金が鳴ったのが聞こえた。
 早く行かなくちゃな、と思い小走りで王女の部屋へと向かう。

 そして王女の部屋の、一歩前のところで、
「私の言うことが聞けないの?」
という、王女の明らかに怒りを含んだ声が聞こえ、ノックもせず扉を開けた。