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二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- 第三章 ( No.23 )
- 日時: 2010/12/12 17:47
- 名前: 双海 (ID: BdM.OEZp)
そこには、窓際にある椅子に座り憤怒の表情を浮かべる王女と、狼狽した大臣が話をしていた。
王女の横には、困惑した顔のテトがいる。
窓際のテーブルには、食べかけのお菓子が置いてある。
僕に気付いたテトは此方に駆け寄ってくる。
一方王女は、僕には気付かず、大臣と話し続けている。
「テト、何があったの?」
いい機会だ、と思い、小声で問い掛ける。
「えっ…と、り、リン様がお菓子を食べている途中、その…っ、大臣が来て、」
焦ったように話す彼女に、
「落ち着いて。」
と声をかける。
「う、うん…。それで、大臣が、カイト王子がリン様との婚約を破棄した、って。」
「え…?」
「それで、緑ノ国の女と婚約する、って言い出したらしくって。それで…」
「ちょっと、待って…。」
そう言い、さまざまな思考を巡らせる。
ちょっと待てよ、なんだそれは…。
カイトが婚約破棄…?緑ノ国の女と婚約…?
その言葉に、あの二人の姿を思い出す。
あの仲睦まじい、カイトと彼女…、ミクの姿。
僕の手から落ちる薔薇の花の入った紙袋。
僕はそんなのを気にせずに問う。
「その、女って、誰…?!」
今度は僕が焦る番だった。
気に入らない者は全て処刑しろと言うような王女のことだ。
その女性のことを、自分の想い人を奪った憎い奴と認識し、そして…、
「それが、わからないのよ…。」
その思考はテトのその言葉によって遮られる。
わからない、そう聞いて安堵した僕だったが、その次にテトが言い放った言葉に絶望を感じざるを得なかった。
「それで王女が、わからないなら、緑ノ国を滅ぼしてしまえ、って…!」
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