二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

第三章 ( No.25 )
日時: 2010/12/12 21:33
名前: 双海 (ID: BdM.OEZp)

「レンも…。」
 僕の方を見ずに、王女はぽつりと呟く。
「はい?」
「レンも出ていっていいわよ。」
「あ…。」
 確かに、此処に僕が居続ける意味はない。

 でも…。

「…あの、さっきの話、ですが。」
「……。」
「考え直した方がいいんじゃないでしょうか?」
 そう言うと、急に王女は僕の方を向いた。
 その王女の顔は、憎悪に満ち溢れていた。

「レンも、私に逆らう気なの?」
 そう、大臣と話していた時のように明らかに怒りを含んだ声色で言う。
「いや、そういうわけじゃ…」
「じゃあ、何よ?」
 早く言えと言わんばかりの口調でそう言う王女。
「ですが、戦争は、やめた方がいいと…」
 僕がそう言うと、王女は押し黙る。
 その瞳は、さっきまでの憎悪を含んだ瞳ではなく、一人の少女の瞳へと変わっていた。
 王女はそんなのわかってる、とでもいいたげな表情で僕を見つめる。

 ふと、王女は僕から視線を外す。そして
「出てって。」
と言う。
「ですが、リン様…。」
 僕がそう言っても王女は何も言わない。
 王女に何を言っても無駄だと理解し、僕は部屋を出て行くのであった。

 そして一通りの仕事を終え、眠りについた。