二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

第三章 ( No.26 )
日時: 2010/12/15 18:00
名前: 双海 (ID: BdM.OEZp)


 王女が“緑ノ国を滅ぼせ”と言ってから、少し経った、今日。
 僕はいつものように王女の部屋へお菓子を運んでいた。

 いつものように王女の部屋に入る。
 王女はいつものように窓際に置いてある椅子に座っていた。
 王女は手紙を読んでいたが、僕は気にせず、いつものように王女の座っている机にお菓子を置く。

 そこまでは、いつもと同じだった。

 …そこまでは。

「……。」
 何故か王女はお菓子を食べようとしない。
「リン様、食べないのですか?」
 そう声を掛けると、王女は僕の方を向く。
 そして、言う。
「ねぇ、レン?カイトの新しい婚約者の名前、ミク…っていうんだって。」
 “ミク”。王女はそこを強調し、言う。
 そして僕の様子を伺うように、目を合わせながら、言う。

「へぇ、そう、なんですか。」
「レンはその人のこと、知ってる?」
 王女はそう言い僕に笑いかける。けれど、目は笑っていない。

 王女は僕とミクが知り合いだということを、知らないはず。
 だから、堂々と知らないと言えばいいのに、僕は動揺していて。

「………し、知りません。」

 つい、王女に確信を持たせるような言い方をしてしまう。
 これじゃあ、知っていると言っているようなものだ。
 案の定王女は、やっぱり、と呟く。
 そしてにこ、と笑う。その不気味な笑みに、…僕は恐怖を感じた。

「ねぇ、この写真見て。」
 そう言い、差し出す写真を受け取り見る。
 そこには、長く綺麗な緑の髪を二つに結った彼女、ミクがいた。