二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

第三章 ( No.27 )
日時: 2010/12/16 15:11
名前: 双海 (ID: BdM.OEZp)

「ねぇ、レン。このミクって女のこと、知らないのよね?」
 僕は頷く。
「じゃあ、どうしてレンはそんなに動揺しているの?」
「……別に動揺なんて、してませんよ。」
 やっとで出た僕の声はひどくかすれていて、説得力のないものだった。
 そんな僕の言葉に王女は、目を細める。そして視線を逸らす。

「まあ、いいわ。」

 やっと解放された。そう思い安堵する僕をよそに、王女は言葉を続ける。
「レンに頼みごとがあるの。」

 …頼みごと。
 その言葉に何故か僕は嫌な予感がした。
 前にもこんなことがあったが、王女の様子がおかしいからだ。
 悲しそうな顔をし、唇を噛み締めている。
「ミクって女を、消してほしいの。」
「…え。」

 僕は王女のその言葉に、とても驚いた。
 いや、そんな言葉じゃ表せないくらい、驚いた。

「ですが…。」
「大丈夫、ミクって女が今どこにいるか、この手紙に書いてあるわ。」
 王女は勘違いをしているのか、そんなことを言い出す。
 僕はふと、王女の言葉に疑問を覚えた。…手紙?
「あの、王女。手紙とは…。」
「これよ、ミクって女が書いた、この手紙。」

 王女はさっきまで読んでいた手紙をつまみ、ちらつかせる。
 僕はその手紙に“レン”と書いてあるのが辛うじて見え、
「その手紙、見…」
せてください、そう言おうと思ったのだが。
 僕が声を発した瞬間、王女はその手紙をビリビリ破った。
 そしてその手紙は、床に落ちる。
 僕はその光景を唖然とし見ていた。
 一方王女は、その床に落ちた手紙を一瞥し、僕の方へ目を向ける。