二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

第一章 ( No.3 )
日時: 2010/11/28 18:31
名前: 双海 (ID: BdM.OEZp)

「ふむ。」
「で、その話、なんですが…。」
 そこまで言って、また話を止めてしまう。

 王女がちら、と時計を見る。
 時計はニ時五十分を指していた。

「早く話しなさい。」

 王女は、後十分で三時になるから、早く話しをしてほしくて言ったのだろう。
 だが村人は王女の機嫌が悪くなったように聞こえたらしく、焦りながら話し始めた。
「その、もう、私達からお金を取るのは、やめてほしいのです…!」
「なに…?」
 王女はその言葉を聞き、不機嫌になる。
「っその、私達もお金が底を尽きてしまって…食料も買えず、困っているのです!」
「…。」
「今までのお金を返してくれ、とはいいません!ですが、もう私達からお金を取るのは、」
 村人がそこまで言ったところで王女が、ぽつりと言った。
「じゃあ…。」
「え?」
「お金を取るのをやめてほしいのなら、跪きなさい!」
「は、はぁ?」
 その言葉は予想していなかったのか、村人は素っ頓狂な声を出す。
「跪けと言っているのよ、さぁ!」
「ふざけるなよ…。」
 村人は先ほどの機嫌を伺うような態度とは一変した態度になる。
「ふざけてなんかないわ。」
「お前なんかっ、王女失格だ!」
 そう言い、どこに隠していたのか…ナイフを取り出して走りだす。
 村人は冷静さを失い、そのようなことをすればどうなるか、など頭に無いようだった。

 僕は王女の一歩前に歩み出るが、村人は僕の所に来る前に兵士達によって取り押さえられた。

「くそっ…!」

 王女は僕の横まで来て、
「その者を明日、公開処刑に。」
と言った。

 村人は暴れていたが、しばらくし無駄な抵抗とわかったのか、抵抗をやめた。
 おとなしくなった村人を兵士達は連れて行く。
 ぱたん、と扉が閉まるのと同時に三時に鳴る教会の鐘が鳴った。

 それを聞いた王女は僕の方を向き、とびっきりの笑顔で
「“レン”!おやつの時間だわ!」
と言った。