二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

第五章 ( No.49 )
日時: 2010/12/31 12:13
名前: 双海 (ID: BdM.OEZp)

 その“事件”起こったのは、その次の日の出来事だった。
 その“事件”は、“革命”なのかもしれないが、僕達当事者にとっては歴とした“事件”だった。



 僕は、ドタバタと騒がしい音で目を覚ました。
 小さめの窓から、明るい光が差し込める。
 だが、いつもは聞こえる、小鳥のさえずりが今日は聞こえない。
 代わりに聞こえるのは、何やら慌てたような人の声。
 それも、一人ではない。
 何人もの、声。

 何か、あったのだろうか?
 僕は髪を結わず部屋の外へと出た。

 案の定、そこには召使達が右往左往するという光景が広がっていた。
 皆、青ざめた顔をし、どうしよう、などと呟いている。
 そんな様子を見て、何もない、と言い切れる人はこの世に何人いるだろうか。
 きっと、数人もいないと思う。

 偶然、僕の前を通りかかったネルに、声を掛ける。
 と、ネルは目を見開き、り、と呟く。
 きっとリン様、と言うつもりだったのだろう。
 だがネルは、僕の格好を凝視し、何か考えるような素振りをし、
「…レン?」
と控えめに問い掛けた。
 その問い掛けに短くうん、とだけ答え、今度は僕が問い掛ける。
「ネル、一体なにがあったの?」
 その言葉を聞いたネルは、いつぞやのテトのように慌てながら話し始める。
「その、さっき、見張りの人が来て、む、村人達が大勢で攻めてきた、って!」
「……?」
 どうして慌てる必要があるのだろうか。
 この国には有り余る程の兵士がいるはず。
 村人達なんていとも簡単に鎮圧することができるはず。

「それが、できないからこうなっているんじゃない!」