二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

第一章 ( No.5 )
日時: 2010/11/29 18:34
名前: 双海 (ID: BdM.OEZp)

「そうよ。明日、緑ノ国へ行ってきてほしいの。」
「緑ノ国、ですか?」
 緑ノ国というのは、我が国ー…黄ノ国の隣の国である。
「いいですが、何の為にですか?」
「そろそろ食料も少なくなってきたでしょう?だから、食料を買いに行ってほしいのよ。」

 食料を、買う?
 食料が少ないから買うのはわかるが、どうしてわざわざ緑ノ国へ行かなければいけないのだろうか?
 別に、黄ノ国で食料を買ったって、特に変わらないのに。

 僕のそんな疑問を見透かしたように、王女はくす、と笑い
「薔薇の花を買ってきて欲しいのよ。」
「薔薇の、花ですか?」
 確かに薔薇の花は、黄ノ国には売っていない。
 薔薇の花は、緑ノ国には売っているのか。
「ええ。部屋に飾りたくてね。食料はそのついでよ。」
「…置いて、どうするのですか?」
「どうするって…。眺めるのよ。」
「そうですか…。」

 内心驚いていた。王女に、そんな、花を眺めるなんて趣味があったとは思わなかったからだ。
 まぁ、女の子だから、そのような趣味を持っていたっておかしくはないが。

「まぁ、そういうことなんだけど、いいかしら?」
「いいですよ。食料と薔薇の花、ですよね。」
「そうよ。食料はこれに書いてあるのをお願い。」
 そう言い、小さな紙を差し出してくる。
 それを受け取り、ポケットに入れる。

「では、失礼します。」
 なにも残っていない皿とフォークなどを持ち一礼し、今度こそ部屋を出ようと思ったのだが、
「ねぇ、レン。」
また、呼び止められる。