二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

第一章 ( No.6 )
日時: 2010/11/28 22:19
名前: 双海 (ID: BdM.OEZp)

 半ば呆れつつも、
「なんですか?」
という返事をする。
「私たちってさ。」
「はぁ。」
「似てるって思わない?」
「まぁ…。」
「もしかして、私達って双子?」

 王女は確かに、そう言った。

「え?」
 双子か。そう聞かれたのはわかっているが、聞き返さずにはいられなかった。

 王女はさっきと同じ言葉を言う。
「私達って双子?」
「違うと、思いますが…。」
「レン、こっちに来て。」
 そう言い、手招きする王女のもとへゆっくり歩く。
 心臓はいつもよりも早く動いている。

「ほら、見て。」
 王女は手鏡を取り出し、僕の顔を王女の顔を交互に写す。
「ね?似てるでしょ?」
「まぁ…。」
 曖昧な返事しかできない僕を王女は見つめる。
 真意を、確かめるように。
「私達って双子?」
「違うと、思います…。」
 そう言う僕を、王女はじっと見つめる。

 そして、王女は突然吹き出した。
「あはは、そんな真面目に答えなくても…!」
「え…。」
「冗談!レンと私が双子なんてありえない、そうでしょ?」

 冗談、だったのか。

「…じゃあ、失礼します。」
 今も尚、笑い続ける王女。
 もう話はないよな、と思い部屋を出る。

 扉を閉めると王女の声は聞こえなくなった。

 厨房に向かう途中同じ召使のテトに会い、
「明日緑ノ国行くんでしょ?朝早いだろうから早く寝な。」
と言われたので、備え付けられている部屋のベッドへと潜り込む。
 僕の残りの仕事は彼女がやってくれるそうだ。

 王女の言っていた言葉は忘れ、明日に備え、僕は眠りについた。

 もう終わりは近づいている、ということなんて知らずに、安らかに眠りについた。