二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

第ニ章 ( No.7 )
日時: 2010/12/01 20:55
名前: 双海 (ID: BdM.OEZp)

 小鳥のさえずりの聞こえる、爽やかな朝。
「ん…。」
 僕はいつもより早く起き、緑ノ国へ行く準備を始める。

「これでいいか…。」
 準備が大体終わった時、迎えは来た。
「レン様、準備は終わりましたでしょうか。」
「ああ。」
 僕は短く返事をし、扉の方へと向かって歩いていった。


 しばらく歩いた所に、馬車が待機していた。
「お乗りください。」
 僕は馬車に乗る。
 御者が鞭を振るうと、馬は走り出し、馬車が動く。
 御者が手綱を引き、馬を操るのを僕は見ていたが、やがてそれに飽き、外の景色を眺めていた。
 緑ノ国へ行くのには結構な時間がかかる為、何か暇潰しをしていないと退屈になってしまう。

 ふと、広場に人だかりができているのが見えた。
「あの人だかりって…。」
「とある村人の処刑を見る為に集まった人々ですね。」
 僕が呟いた言葉に、御者が応えてくれた。

 昨日、王女の言っていた言葉を思い出す。
“その者を明日、公開処刑に。”
 成る程、昨日の村人の。

 昨日、といえば…。
 昨日王女が、
“私達って、双子?”
と聞いてきたのを思い出す。
 僕は溜め息をひとつ、こぼす。
 王女は冗談のつもりで言ったらしいが、僕は気が気でなかった。
 僕と王が話していたのを聞いていたのかもしれない、と。

 王女にそう言われる一日前。
 僕と王はとある話をしていたのだ。

 僕は、馬車に揺られながら、王と話していた時のことを思い出していた。