二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

第ニ章 ( No.8 )
日時: 2010/12/01 20:52
名前: 双海 (ID: BdM.OEZp)

 一昨日のことだ。

 僕が布団に入ろうとした時、突然部屋にノックの音が響いた。
 誰だよ、こんな遅くに、と心の中で僕は悪態を吐き、扉を開ける。

 そこには、この国の王。王女の父にあたる人がいた。
 リン様が、女王ではなく王女なのは、この方がまだ、王としての権利を握っているからである。
 王女はまだ若い。だから、表のことは王女に任せている。直に、女王となることだろう。
「こんな遅くにすまんね。」
「何か御用ですか?」
「ちょっと、話がある。」
 そう言うと、王は踵を返し、歩いて行き、ついてこい、と言う。
 僕は少し考えた後、王の後を追った。

 王は、王女の部屋へ行く時に通る道を迷うことなく歩いて行く。
 一体どこへいくのだろうか。
 そんな疑問を覚えつつ、僕は王の少し後ろを歩くのであった。



 とある扉の前で、王が足を止めた。
 そして王は躊躇することなく部屋に入る。
 僕もその後へと続くが、やはり緊張する。
 それはこの部屋が、王女の部屋の隣の普段入ることのできない部屋…王の部屋だからである。

 僕が部屋に入った後、王は扉の鍵を閉める。
 僕がその行為を不思議そうに見ていたのを気付いたのか、
「人に聞かれたくない話なのでね。」
と言って王は笑った。

 王は部屋の真ん中にある向かい合わせになった長椅子に座る。
 そして入口で立ち止まっている僕に座りなさい、という。
 僕はゆっくり歩いて行き、王の正面の長椅子に座る。

 座っても話し出さない王に僕は痺れを切らし、
「話とは、なんでしょうか。」
と言った。