二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: ▽ 鬼爪 【戦国BASARA3】 ( No.2 )
- 日時: 2010/11/28 00:29
- 名前: 蓮羽 ◆8ylehYWRbg (ID: vtamjoJM)
- 参照: 元、帽子屋ですv
▽ プロローグ
『嘘なんだろ? どうせ、お前のいつもの冗談なんだろ?』
髪を、体を、頬を、悲しく降る雨が濡らした。
この心苦しさ、どうしたらいい?
きっと、お前の一言で救われるはずだ。
言ってくれ、「そうだ」って。
「全部嘘だ」って言ってくれ。頼むから。
『お前が秀吉を裏切るなんて……あるわけが無い……そうだろ? 家康』
家康は首を縦には降らなかった。俺を見据えて、
「ワシは秀吉公を越え、絆の力で天下を統べてみせる!! そのために稜弥、お前の事も越えなければならない」
そう言うだけだった。
何でだ、何で、お前がこんな事。
そうとしか頭が回らなかった俺は、もう何をすればいいか分からなかった。
『……ッあああああああ!!』
気が動転して、俺はとっさに家康に斬りかかっていた。
鬼爪が、きらりと紅く光って家康の頭上に降りかかる。
ガキィンッ!! と堅く鈍い音がした。
家康に鬼爪は当たらず、代わりに忠勝の鎧に跳ね返された。
『どけ忠勝!! 俺はッ、俺は家康を止めなきゃいけないッ!!!』
必死にそう叫んだけど、忠勝はどいてくれなかった。
家康は小さく俺の名前を呼ぶと、後ろめたそうに目をそらして、忠勝の後ろから走り出した。
『待て家康!! 行くな!! 止まれ!!』
俺は追おうとしたのに、忠勝が俺の前に出て邪魔をする。
こうしてる間に、家康はどんどんと俺と差を広げていく。
『どけよ忠勝!! おい!! くそっ、どけって言ってんだろおおお!!』
そう叫ぶのに、忠勝はまったく微動だにしなかった。
『家康ゥゥウウウ!!!』
俺がそう呼ぶのに、家康はまったく後ろを向かなかった。
▽
『(……また、この夢だ)』
布団の中、寝汗びっちょりで俺は思った。
最近またよく見るようになってきた。
一時はそうでもなかったんだけどな、と思いながら体を起こす。
俺の体内時計は実に正確だから、朝はきっちり寝坊せずに起きる。
でも、多分これまだ寝れるのに夢のせいで飛び起きちまうっていうだけなんだろうけど。
それにしても最悪な目覚めだよ。
そう思いながら俺は着物に着替え、布団を畳む。
『さーて……今日は何があったっけなー』
そう軽い口調で呟きながらパラパラと予定帳を捲る。
えーと今日は?
・朝から会議
・鍛錬
・おやつは刑部のミカン
……何これ、最後なんの書き残しだろ?
てか朝から会議だと!? ヤバいぞ早朝会議だったらもう始まる時間じゃん、顔も洗ってないのに!!
俺がそう焦り始めたときに、部屋の外から聞き覚えのある怒声が聞こえてきた。
「稜弥!! いつまで寝ている、会議が始まるぞ!!」
……三成だ。
超不機嫌だぞ、どうしよう俺怒られる?
とりあえず行かないと、と俺は鬼爪を懐にしまって、部屋を出た。
その後、三成に大目玉食らったのは言うまでもないよね。
▽ つづく