二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: POCKET MONSTERS オリキャラ募集 ( No.24 )
日時: 2011/02/06 10:48
名前: 黒影 ◆BX9zGDO0G. (ID: pDyYudP2)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode

第7話

2002/06/14(金)11:38


 薄暗い森の中、周囲を官給のライトで照らしながら歩く。

 極度の緊張感に自然と息が荒くなった。

 密集した木々の背は高く、日が射さない為、気温自体は其処まで高くないが、額には汗が浮かぶ。

 もしも、これが仕事じゃなくて、警戒すべき相手も居なければ、最高の休憩場所となっただろう。

 しかし今回は仕事なのだ。

 少し後ろを見ると、ショットガンを抱えた同僚の背中が見えた。

 何故、ロケット団のメンバーが潜伏している、などという情報がある危険な森の中にたった二人で調査に来たのか。

 そもそも、ロケット団はマフィアというには過激すぎるんじゃないだろうか。

 団員は全員が武装していて、ことあるごとにポケモンや金を奪い、闇の取引をする。

 一人や二人の人間を闇から闇へ葬るかのように始末するような組織だ。

 そんな連中が潜んでいる森に二人の、しかもポケモンとロープと手錠とライトと自動式拳銃しか持っていないようなレンジャー隊員が挑むなど、正気の沙汰ではない。

 そんなことを考えていた時だった。

 背後の同僚が息を吐く。

 その一瞬の間に何者かが同僚に襲いかかり、あっという間に倒し、木々の間に消えた。

「!?」

 振り向き、自動式拳銃を向けてみるが、もう敵は居ない。

「おい、大丈夫か!?」

 辺りを暫く警戒した後、しゃがみ込み、俯せに倒れている同僚の身体を仰向けにした。

 同僚の首にはアサルトライフル用の銃剣が一本、深々と突き刺さっていた。

 抜く余裕もなかったのだろうが、あの一瞬で相手に近付き、首に銃剣を突き刺し、木々に消えたのは、相手が相当手練れであることを窺わせる。

 溢れ出る血液と見開かれた目、まだ熱を残しながらも段々と冷たくなっていく身体が同僚の死を物語る。

 その同僚の遺体を地面に下ろし、見開かれた目をそっと閉じると、彼は立ち上がった。

 相手の人数、使用する武器、それぞれの特徴も分からない以上、一人では警戒が足りない。

 モンスターボールから、相棒のガラガラを出し、自分の後ろを任せる。

 相手が素早いことが分かった為、取り回しが利かず、隙が出来るショットガンは不要と判断し、自動式拳銃のみで警戒することにした。

 右手で自動式拳銃を構えながら、左肩のケースから無線通信機を取り出す。

 電波状況が悪く、酷く雑音は入っているが、署との連絡は取れるようだ。

「此方、トキワの森を調査中の浦和。トキワの森を調査中の浦和。本部どうぞ」

『…キワ本部。現…を伝え…』

「同行していた園田が死亡。殺害された。犯人は未だ付近に潜伏している模様。一人での調査続行は不可。退却も不可。応援を頼む」

『了解。現在…は?』

「不明。トキワ0819-4か8付近と思われる。早急の支援を求む」

『了…。すぐに…援…送る』

「感謝する。オーバー」

 交信を止め、無線通信機をケースに戻すと、辺りの気配に神経を研ぎ澄ました。