二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: POCKET MONSTERS オリキャラ募集 ( No.30 )
日時: 2011/02/10 23:54
名前: 黒影 ◆BX9zGDO0G. (ID: pDyYudP2)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode

第8話

2002/06/14(金)11:44


 トキワの森の北側、2番道路の隅の雑木林に、目立たないようにそのテントは立てられていた。

 カクレオンが数匹居るらしく、道路側からは殆ど完璧にカムフラージュされていた。

 その保護色の応用で隠されたテントの中には、八人の黒服の人間が居た。

 全員でテーブルを囲み、テーブルの上の地図を眺めている。

 少々癖があるが綺麗な金髪、スカイブルーの瞳の白人らしき青年、ラース小隊長は、地図上のほぼ中央を指差しながら説明する。

「つまり、トキワ0819-3エリアから0816-4か5辺りの何処かに死体を移動させるわけです」

 その説明を聞き、金色の短髪に黒い瞳、胸を見て辛うじて女だと分かる程に中性的な容姿の女性、ゲーデ小隊長が左膝に乗せていた右足を下ろした。

「それで、どうするんだ? 死体を移動させて、何だ?」

「陽動です。丁度あの地区は森の南側。あの辺りに敵を集め、その隙に撤収します」

 ラースの言葉にゲーデが反論する。

「撤収? 冗談だろ? これ撤退作戦なのかよ? 俺ァてっきりまとめて吹っ飛ばすのかと……」

「それは出来ないこともないが、危険すぎる。第一、今此処にある爆薬はアップル・グレネードくらいだ」

「破片手榴弾なら十分だろ?」

「M67は信管点火後5秒程で爆発する。それも、5mの範囲に居れば致命傷だし、飛び出した破片は15mは飛ぶ。そんな危険な任務を出来る程、余裕はない」

「はっ……勉強はちゃんとしてんだな。それで、どうするんだ? 後十五分もあればレンジャーの連中は来るぜ?」

「何のための非正規戦闘専門の特殊部隊だ。その手の訓練も施してある」

「そうかよ。で、中隊長はどう思う?」

 話を振られ、茶色のセミロングに黒い瞳の女性、ロストメディスン(ロマン)中隊長はのんびりした声で答えた。

「良いんじゃなぁい? でも、敵はどうやって集めるの?」

 ロマンの質問に、ラースは口元に小さく笑みを浮かべ、腰のホルスターに手を掛けた。

「これを、使うんですよ」


 黒服の人間が四人、森の中で動き回っていた。

 一人一体ずつ、死体を担ぎ、残りの二人は、片方が水で血を洗い流し、もう一人が周囲を警戒している。

 血を洗い流した男がふと腕時計を見る。

 増援到着の予想時刻まで、残り十分程。

 四人は急いで森の南側まで死体を運んだ。

 南側の入口近くの林の中、地面に死体を置くと、二人は森の奥へと消えた。

 二人は、増援が来るのを待つ。

 そして、ポケモンレンジャーの増援が到着した。

 レンジャーの車両が二台停車し、それぞれから二人ずつ、隊員が出てくる。

 二人は互いの表情を確認し、頷くと、ゆっくりとその場を離れた。

 自動式拳銃の照準を死体近くの地面に合わせ、連続して引き金を引く。

 発砲音が三発響き、レンジャー隊員が一斉に其方を向く。

 二人は頭を低くし、北部まで戻るルートを辿った。

 この時、この場にいる全員が、この森に、子供が入り込んでるとは思っていなかった。