二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: POCKET MONSTERS ( No.7 )
日時: 2010/12/05 08:16
名前: 黒影 ◆BX9zGDO0G. (ID: 59nFPquI)
参照: http://pokemon-ds.net/cgi/novel/index.cgi?mode

第2話

2002/06/14(金)08:30


「おや、とかげポケモン、ヒトカゲにするのかの?」

 大城戸博士が尋ねる。

 レッドは頷いた。

「じゃ、俺はこいつ」

 グリーンはその隣のボールを手に取った。

「かめのこポケモン、ゼニガメか。中々良い一匹じゃぞ」

 大城戸博士の言葉にグリーンは嬉々としてボールを眺めた。

 レッドは興味深げに眺めていたが、暫くすると、奥のテーブルのポケモン図鑑を見遣った。

 大城戸博士がそれに気付き、ポケモン図鑑を持ってくると、レッドに渡した。

 レッドは早速ヒトカゲをボールから出し、図鑑に読み込ませてみた。

『ヒトカゲ』

 画面にヒトカゲの写真と説明文が表示される。

「心地はどうかな?」

「…凄いですね」

 大城戸博士の質問に、レッドは簡単な言葉を返し、グリーンに向き直る。

 グリーンもポケモン図鑑を受け取り、ゼニガメを読み込んでいた。


 レッドがその場を立ち去ろうとした時だった。

「おい、レッド! バトルしようぜ!」

 グリーンの一言。

 レッドは軽く溜め息を吐き、ボールを構えた。

 グリーンも構える。

「やれやれ……気の早いものじゃ。まぁ、何事も経験じゃな」

 大城戸博士が呆れた声で言う。

「行っけぇ! ゼニガメ!」

 グリーンが叫び、ボールを放る。

 ボールが光ったかと思えば、其処にはゼニガメが居た。

「ヒトカゲ」

 レッドもボールを放る。

 ゼニガメとヒトカゲが対峙した。

「まずは攻撃じゃな。最初のうちはどんどん攻撃することじゃ。ほれ、やってみろ」

「ゼニガメ! “たいあたり”!」

 大城戸博士の言葉通り、グリーンの攻撃指示。

 ゼニガメが突っ込んでくる。

「…迎撃だ、ヒトカゲ」

 レッドが呟く。

 ちゃんとヒトカゲに伝わったのか、ヒトカゲは突っ込んでくるゼニガメに右腕の一撃を叩き込んだ。

 ゼニガメは横に倒れたが、すぐに起き上がった。

「ゼニガメ! “たいあたり”だ!」

 相変わらずの攻撃指示。

 ゼニガメはまた突っ込んでくる。

「かわして、“ひっかく”」

 レッドの呟きにヒトカゲは指示通り動いた。

 ヒトカゲがかわすと、ゼニガメはヒトカゲのすぐ後ろにあった鉄の本棚に頭をぶつけた。

 棚に収められていた本が崩れ落ちる。

 ヒトカゲは落ちてくる本をかわしながら、ゼニガメに接近し、“ひっかく”で攻撃した。

 そして、すぐに離脱。

 棚の上にあった本がゼニガメの上に落ちてきたからだ。

 先程の“ひっかく”の一撃で、碌に体勢を立て直していないゼニガメは幾つかの本の下敷きになり、動かなくなった。

「ふむ、ゼニガメは戦闘不能じゃな。レッドの勝ちじゃ」

「畜生!」

 ゼニガメをボールに戻しながらグリーンは叫んだ。

 レッドも無言でヒトカゲをボールに戻す。

「さて、負けた者は勝った者に賞金を払わなければならん。今回は儂が払っておくが、次からは自分で払うのじゃぞ」

 大城戸博士はレッドに500円渡した。


「…グリーン、悔しがるのは良いことだよ」

 研究所で、ポケモンの回復を待つ間、レッドはグリーンに言った。

 グリーンは未だに悔しがっている。

 レッドは微笑を浮かべると、回復が終わったヒトカゲのボールを手に取った。

「…ヒトカゲヒトカゲ呼んでると少しアレだな……よし、お前の名前は今から“ヒエン”。良いかな?」

 レッドが言うと、ヒトカゲ——ヒエンは嬉しげに頷いた。

「…行こうか」

 最後にグリーンを一瞥し、研究所を出ていった。