二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 刹那の欠片 【REBORN!】 プロロup! ( No.8 )
日時: 2011/08/13 15:45
名前: 葵 (ID: 5Zruy792)

 1話 新任教師来る!


———————————


「うわあああああ! 思いっ切り遅刻だあああああ!」


 凄いスピードで駆けて行く少年————沢田 綱吉……通称ツナ、又はダメツナ。
 その肩に乗りながら、優雅に寛いでいるのが伝説のアルコバレーノ……リボーンだ。
 エスプレッソを飲みながら、リボーンはほぅ、と溜め息を漏らす。
 そんなリボーンを、ツナは睨み付けた。


「人の肩の上で、エスプレッソ飲んでんなよ!」

「何処で飲もうが俺の勝手だ。それに、朝の一杯は旨さが違うからな。ダメツナには分からないだろーな」

「はいはい、どうせ俺はダメツナですよ!」


 若干遅刻しない事を諦めた様に、ツナは速度を緩めた。
 が、直ぐに風紀委員長————雲雀 恭弥の存在を思い出し、速度を戻す。

 雲雀 恭弥————。
 並森最強と謳われる伝説の男である。
 並森で平和に生きたければ、先ずは彼を手懐けておく事を優先させるべきかも知れない。
 まぁ彼を手懐ける事自体、相当難易度が高いのだが。


「あー! もう! また雲雀さんに噛み殺されるよー!」

「噛み殺される前に殺せば良いじゃねぇか」

「そんなこと出来る訳無いだろ!」


 とか何とか言いながら、門前にツナは着く。
 門前には当たり前に、雲雀が佇んでいる。
 いつにも増して、不機嫌気味な表情である。
 ツナはハァと溜め息を漏らして、雲雀が不機嫌なのを恨んだ。

————明らかに、噛み殺される…。

 ツナは腹をくくり、そろそろと足音と気配を消しながら、雲雀の視界に入らない様に心掛ける。
 しかし。
 雲雀の前とあらば、気付かれない事がおかしいのだ。


「沢田 綱吉。遅刻……何度目だい?」

「……分かりません……」

「分からない位、やってるってことだね。赤ん坊……君、次に沢田 綱吉が遅刻したら沢田 綱吉をどうしても良いと言ったよね?」

「はぁっ!?」


 いつの間にそんな約束をしていたんだ、とばかりにツナが振り返る。
 リボーンはエスプレッソを飲み終え、ツナの肩から飛び降りた。
 ニヤッと笑ってから、リボーンは言った。


「あぁ、約束だからな」

「じゃあ、沢田 綱吉。新任の先生に挨拶してから、学校内案内しといてよ。僕、あいつ嫌いだから」


 そう言って不機嫌そうに雲雀は去った。
 ぽかん、と間抜けな顔をしながら、ツナは雲雀を見送った。

————あいつ……?
雲雀さんが嫌うぐらいなんだし、性格悪いのかな?
意外にディーノさんみたいな人だったりして。

 ディーノが階段を落ちる瞬間を思い出し、クスッとツナは笑ってしまった。


「お前か? 雲雀 恭弥の言っていた、“草食動物”とやらは」

「違います!」


 後ろから凛とした綺麗な声が聞こえ、ツナは否定しながら振り返る。
 暗闇を思い出す様な、長く、綺麗な黒髪。
 血の色の様に赤い瞳と、黒い瞳。
 ツナと同じぐらいの高さの身長。
 言葉にし難い妖しげな美しさに、ツナは思わず口をつぐんだ。
 クスクスと彼女は微笑み、風で髪を靡かせる。


「私は黒山。黒山 夜だ。何とでも呼べば良いさ。新しく来た新任教師だ。よろしく頼むよ、沢田 綱吉」


———俺達が彼女に会ったのは、少し寒々しくなり始めた季節。