二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 刹那の欠片 【REBORN!】 6話up! ( No.39 )
- 日時: 2011/03/30 00:15
- 名前: 葵 (ID: 7jw4zwan)
特別番外編 夜の一日(in 日本)
今日から夜は並森中の先生だ。
夜は軽やかな足取りで、並森中に向かう。
途中には紅葉や銀杏が散り、地面を埋め尽くす。
銀杏の実を踏まない様に恐る恐る歩いていると、夜は一人の女性と接触してしまった。
肩をぶつけただけなのだが、一応折れていたりしていたら大変なので、夜は急いで歩み寄る。
「すまない、大丈夫か!?」
「いや、此方こそすまなかった…」
どうも似たり寄ったりな話し方をするので、区別が付きづらい。
黒髪の肩に掛かる程度の髪。
モスグリーンの切れ長の瞳。
スタイルは抜群で、少々露出度の高い服を身に付けている。
寒くないのか、と若干夜は突っ込みたくなったが、止めておいた。
「お互い、似たような顔をしているな? まぁ、此れも何かの縁かも知れないな…。私は由良 明日香だ」
「私は黒山 夜……イタリアから最近此処に来たばかりで、日本は久し振りだ」
「お前もか? ———フフッ…。また縁があれば会えるだろう。また会おう、夜」
ニコリと妖しげな笑みを覗かせて、明日香は足早に去って行った。
夜は呆然と明日香が去るのを見てから、急いで歩き出す。
学校に遅刻するからである。
———明日香、か。
聞いた様な名だが…。
もしかしたら人違いかも知れない。
夜が急いで歩いて行くと、並森中の校門が見えて来た。
かろうじて遅刻はせずに済んだらしい。
夜はホッと安堵の息を漏らし、速度を更に速める。
中に入ると、風紀委員の抜き打ち服装チェック。
無論、夜は先生な為、服装チェックなどいらないのだが…。
「其処の君、髪の毛が校則違反だ」
「すいませんんんんん! 許して下さい!」
其のまま、一人の生徒は引き摺られて行った。
夜が横に避けて、職員室に行こうとした瞬間。
近くの草むらで物音がして、夜は草むらに目を向けた。
「誰だ? 其処にいるのは」
草むらからチラッと白銀の髪が覗いた。
瞬間。
夜の手が一気に力強く引かれ、草むらに引き込まれた。
夜が草むらの中で見たのは、白銀の髪。
瞳は吸い込まれそうな程、深い綺麗な青色。
00と書いてあるカンバッチをつけた、ニット帽子を被っている少年。
「お前…何者だ? 此処の生徒では無いだろう」
「俺? 俺はロキ。ロキ・ライトル。先生は?」
「私は…黒山 夜。で、お前は何処の生徒だ?」
そう、夜が冷たい視線を浴びせると、ロキはニヤリと笑った。
「へ〜ぇ♪ 俺さ、なんか先生に興味湧いて来ちゃったかも。お互いを知る為にデートなんかどう? そしたら、何処の学校かぐらい教えてあげるよ」
勝ち気なロキの態度に若干苛々しながら,夜は眉間に皺を寄せる。
———…ロキ…?
あまり聞いた事の無い名だ…。
しかし、侮れない。
きっと此の少年は、私の事を知っている。
夜はスッと立ち上がり、服の砂を払い落とす。
「すまないな。餓鬼に興味などさらさら無い」
「あはは♪ そう言われたら、意地でも這いつくばらせたくなるよ。また今度来るから、ちゃぁんと考えといてよ?」
ヒラリと塀を越え、ロキは走って逃げて行った。
這いつくばらせたくなる、と聞き、夜は眉を潜めた。
考えるも糞も無いと思うのだが。
———また変な奴だな。
此の学校…変人だらけなのか?
這いつくばらせたくなる…って、ドSか?
私はMじゃないから、少なくともあいつとは気が合わなさそうだ。
草むらから出ると同時に、走って来た少年にぶつかってしまった。
首筋まであるやや長い飴色の髪。
目は金色っぽい栗色。
身長は170cmぐらいだろうか。
いたた…と声を漏らしながら、少年は頭を押さえている。
「あれ? 見た事無い顔ですけど…。今日来るって言われてる、新任の先生ですか?」
「ん? …あぁ。私は黒山 夜。お前は…確か紀川 雪浪…か?」
「正解! 黒山先生かぁ…。良い名前ですね♪」
お世辞をサラリと言い、爽やかな笑みを覗かせる雪浪。
わざとなのか、わざとではないのか…。
十分雪浪も良い名前な気がするのは、作者だけだろうか。
というか、よっぽど夜より雪浪の方が良いと思うのだが。
雪浪がキョロキョロと辺りを見回し、焦った様に頭を掻いた。
「どうかしたか?」
「そろそろ遅刻しちゃうんです! じゃあ、さようなら先生!」
嵐の様に雪浪が去り、夜は呆然とした。
———嵐みたいな奴だな…。
落ち着きが無いと言うか…そんな感じか?
瞬間。
門の近くで女の叫び声が聞こえ、夜は身を乗り出した。
「だぁかぁらぁっ !私、此の学校に知人がいるのよ! そんな馬鹿の一つ覚えみたいに、不審者は入れられません、を繰り返さないでくれるかしら?」
「僕は君を知らない。だから、君を僕の大切な此の学校に入れる訳にはいかないよ」
頑として入れようとはしない雲雀。
夜は雲雀の態度に少し苛立ちを覚え、雲雀の目の前に立つ。
雲雀は眉間に皺を寄せ、夜を睨み付けた。
「何? 邪魔だよ。僕は君には興味無い。此の女が学校に入らない様にしてるだけ」
「入れた所で、何があるんだ? 悪い事は無い」
視線がぶつかり合い、バチバチと火花が散る。
雲雀はふんっとそっぽを向いて、顔を背けた。
どうやら、夜の勝ちらしい。
夜は女性の方を向いて、少しだけ微笑んだ。
「…という訳で、此処はもう通って良いぞ」
「あら、ありがとう。貴女、やるわね? 並森最強と謳われる、雲雀 恭弥を負かすなんて…。あぁ、そうだわ。私は新月 一焔よ。貴女は?」
「私は黒山 夜。此処の教師だ」
「私は此処に知り合いがいるのよ。其れで入りたかったの。ありがとう。助かったわ」
ニッコリと一焔は笑うと、腕に付けていた時計を見て目を見開いた。
「あちゃー…。彼、怒ってなきゃ良いけど…。時間過ぎちゃったわ。ばいばい、夜」
「またな、一焔」
風の様に走り去り、一焔は消えた。
今日はよく人と知り合う日の様だ。
少々疲れ、夜は溜め息を漏らす。
瞬間。
「はぁっ!?」
そう叫ぶ少年がいた。
夜は其の少年を見て、呆然としながらも少しだけ微笑んだ。
———お前に会ったのは、少し肌寒くなり始めた季節。