二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 刹那の欠片 【REBORN!】 7話up! ( No.45 )
日時: 2011/05/10 22:42
名前: 葵 (ID: w731Gq1j)

 8話 “闇”来る!


———————————(明日香視点)


私がキュリアに入った———否、入れられたのは極々最近であった。
いきなり何者かに襲われ、気付けばキュリアにいた。
雪浪に説得され、仕方無くキュリアに入った。
正直…断れる状況下では無かった。
周りには銃を構えた雪浪の部下達…当の雪浪はニコニコと笑っていて、少し気味が悪かった。
初めは嫌な気持ちしかなかったが、キュリアに入って得な事もあった———。


“ボンゴレ直属秘密特殊暗殺部隊”。
其れがキュリアの正式な名称だ。
普通のつまらない仕事は全てヴァリアーなど三下の暗殺部隊に送られていて、私達の仕事はほぼ無いに等しい。
が、新しい属性が現れたとあらば、直ぐに駆け付け、其の属性の持ち主を捕らえる。
そして、良い返事が貰えなければ、即刻排除。
此の世から消されるのだ———…。


「本当は殺したくなんか無いのよ? なのに、相手が拒絶するからさ…。私達、仕方無く殺してるのよ」


其れが、一焔の言い分。
拒絶されるから、殺す?
其れは明らかに、只の殺しだ。
“仕方無く”?
仕方無く殺しをする事など…簡単に命を奪う事など…あってはならない。
そう…思っていた。
あの“命令”が下されるまで。


「明日香!」


息を切らせ、一焔が私の方に走って来る。
額には、汗。
私をずっと探していたのだろうか。
一焔は悲しそうに表情を歪ませながら、私に手紙を渡した。
私達のボスからだよ、と付け足して。
恐る恐る手紙の封を切り、中身を見る。


『仲間を迎えに行くべし』


たった、一言。
けれど。
其の言葉は其の時の私には、重かった。
仲間を迎えに行く。
其れはつまり、拒絶された場合には殺しを行わねばならないという事。
一焔や雪浪やロキの様に———私も言い訳をするのだろうか?


「明日香…。辛いかも知れないけど、慣れたら簡単よ? 一度堕ちたら、堕ちるとこまで堕ちるから…」


そう言う一焔の瞳は、何処か寂しげだった。
一焔は、堕ちる所まで堕ちたのだろうか…?
ならいっそ、私も堕ちる所まで堕ちてみようか?
其れに今までだって、仕事だと自分に言い聞かせて、人を殺して来た。
何度も……何人も殺したんだ…。
そう、私はもう戻れないんだよ。
なら、堕ちる所まで堕ちるのも…一つの楽しみだろう。







「そうだな…。堕ちる所まで堕ちてみようか」


私はニッコリと———けれど、疲れ切った笑みで微笑んだのを、覚えてる。


———————————


———姉さ、ん…。
どうして…?

———許せ…!
許してくれ…!
私をそんな目で見るな…!
頼むから見ないでくれ、“闇”…ッ!


其処で、夜は目を覚ました。
冷や汗を流し、服はグッチョリと濡れていて気持ちが悪い。
夜はそっと目を閉じ、腕で目を隠す。


「もう…嫌なんだ…! 許してくれ、闇…!」


苦痛そうに眉間に皺を寄せ、夜はポツリと呟いた。
“闇”___。
其の名前は夜自らが手を下した、義理の弟の名前である。
夜によく似た顔立ちに、性格…更には母親の様な青い瞳を持った青年だった。
初めて直接殺した人間であり、初めて愛した人間でもあった。
時折夜の夢や、ふとした時に空想として“闇”は出て来る。


「許し、て…! 許してえぇええ…ッ!」


涙をボロボロと溢しながら、夜は泣き喚いた。
初めの頃の威圧感など嘘だったかの様に。
子供の様にいつまでも。


「嫌ああああああああああああああああああああ…ッ!」


夜の心は、最早崩壊寸前だった———。