二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 刹那の欠片 【REBORN!】 璃郁様作歌詞up! ( No.95 )
日時: 2011/03/07 16:18
名前: 葵 ◆ufwYWRNgSQ (ID: LR1GMCO/)

 16話 10年後来る!


「では,場所は屋上。以前戦った場所と同じ方向で行きます」


チェルベッロは凛とした表情で,淡々と言った。


———————————


屋上。
ヴァリアー戦とは違い,何も無い,至って普通の屋上。
だが少々天候が宜しく無く,雨が降り出しそうだ。


「此の屋上では今回,避雷針が倍以上に雷を拾います。微弱な雷であろうと避雷針に落ち,雷を直接食らうより痛みは感じる様に作られております」

「はいはい,つまりは雷が落ちるまでに殺れば良いんでしょ?」


等と物騒な事を言い出すリオンに,雪浪は睨み付ける。
どうやら,キュリア側はボンゴレを殺さない様にしている様だ。
ツナは安堵の息を漏らすが,気が気では無かった。

———リオンって人は…全然エルさんとは違う…。
二重人格って、よく分からないけど…こんな感じなんだ…。


「あららのら? こんな所にランボさんの知らない奴が? ランボさんに挨拶もしないで…ランボさんは強いぞ〜」


ビキと周りの空気が固まるのを,ツナは感じた。
殺気が否応なしにランボに向けられ,冷や汗が流れるツナ。
特にリオン,キル,一焔から殺気を感じる。


「では,始めて下さい」


———ちょ,今のタイミングで!?
ランボ確実に殺されるだろ!

観客席に渋々移動し直す,キュリアの面々とボンゴレの面々。
リオンから発される殺気は未だに消えないが,ランボは其れに気付いてすらいない。
ランボは女だからと安心しているのか,リオンに寄って行く。


「あららのら? 返事が返って来ないよ?」


一同は全員,ウゼェと言葉を漏らす。
味方の獄寺やツナですら,イラッとする程だ。
リオンのこめかみに血管がビキッと浮かび,ツナはあわわわと青ざめる。


「噂には聞いていたけど,ウザ過ぎるわね。実物を見れば,更に。雪浪,私こいつを殺さずに済む方法が思い付かないわ」

「…我慢出来ないなら,良いんじゃない? 殺ってもさ。其れ位で死ぬ程度の奴なら,ボンゴレ守護者には相応しく無い」


雪浪がサラッとグロテスクな言葉を言ってのける為,ツナは驚く。
此れが,幼い頃から殺し屋である者の,宿命だ。
雪浪は幼い頃から殺し屋であり,辛い過去を幾つも持っている。
大切な仲間を失ったり,仲間に裏切られたり。
ツナと雪浪の大きな違い…其れは,きちんとした判断を出来るか出来ないかという事。


「雪浪君…どうして…」

「…ツナみたいな甘い考えじゃ,俺等は生き残れない。此処じゃ,毎日が戦争みたいな物だ。ツナは知らないよな。俺等が毎日,殺し屋に狙われたりしてる事。確かにキュリアはボンゴレの最重要機密だけど,結構ド派手に動き回ってるから,知らない奴等はあんまいないんだよな。恨みは買うし,妬みだってある。負の感情の連鎖に,俺等は巻き込まれてんだよ」


そう言うと,雪浪はツナから目を反らす。
一焔と明日香が,悲痛そうな顔をした。
キュリアの面々は,別に殺したい訳じゃない。
一部殺戮を楽しむ者もいるが,大半が上からの命令で仕方無くやっている。
やむを得ない理由があるから,殺っているのだ。


「ふふふ…雪浪から許しが出た♪ さぁ,目一杯暴れるわよ!」


リオンはランボを足で力一杯蹴り飛ばした。
ぐぴゃっと言う声が漏れ,ランボは遠くに飛ばされる。
細く華奢な足からは想像もつかない程の力で,ランボは壁に埋まった。
リオンはクスクスと笑いながら,ランボに近付いて行く。
ランボが床に落ち,ムクリと起き上がる。


「ッ…ランボ!」

「流石だね。普段からリボーンに殴られ慣れてるせいかな? 少しの耐性は出来てるみたいだね」


ロキがランボを褒めるが,別に殴られ慣れるなんて,嬉しい事でも無い。

———キュリアとボンゴレの力量の差が激し過ぎる。
やはり,ボンゴレがキュリアと戦うのは早過ぎたのではないか?
なのに何故,あんなにリボーンは,ボンゴレの奴等を認めている?

夜には分からなかった。
何故リボーンがあんなにボンゴレを認めているのかが。


「ぐぴゃあああ!」


ランボは殴られた痛みからか,いきなり泣き始める。
そして頭から10年バズーカを取り出し,自らに向けて其れを押した。


___ボワンッ


煙に包まれ,リオンは眉間に皺を寄せる。
此れがキュリアの一番厄介だと思っていた内容だ。
10年バズーカは未来の自分である為,無効とされない。
しかも20年経つとキュリアの参考資料に書かれていた通り,ヴァリアーすら倒す力を持つ…のが厄介なのだ。


「おや? こんな所に可愛らしい子猫ちゃんが?」

「———ッ寝言は寝て言え!」


“子猫”と呼ばれた事に腹を立てたのか,リオンは懐から“何か”を取り出す。


「あら,珍しいわね。リオンが彼処まで嫌がるの」

「嫌いな性格だからじゃないのか?」

「リオンもエルも,あの手の性格は嫌いだからな。久し振りに見たぜ。リオンの武器」


真っ暗だった筈の空が,一瞬だけリオンを照らした。
月に光る銀色の…。


「………糸?」


怪訝そうに,雲雀が目を凝らす。
向こうの方でピカッと雷が光り,ツナ達は思わず目を瞑った。


「___大嫌いよ…お前みたいに軽い性格の奴,大嫌い! お前は殺す。私が,此の手で…!」


リオンは10年後ランボをキッと睨み付け,呟いた。