二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 刹那の欠片 【REBORN!】 16話up! ( No.96 )
- 日時: 2011/03/30 01:14
- 名前: 葵 ◆ufwYWRNgSQ (ID: 7jw4zwan)
17話 謎の声来る!
———————————(リオン視点)
両親が死に、私と兄は施設に預けられた。
其処で私達を待ち受けていたのは、屈辱と執拗な虐めだった。
女子達には疎まれ、男子達には殴られたり蹴られたりする日々。
路上生活よりはマシだったけれど、幼かった私達の心が壊れるのに、そう時間はかからなかった。
両親を失い、只でさえ私達の心は崩壊寸前だった。
更に執拗な虐めなどから、与えられた心の傷。
傷は深くなり、遂に私達は崩壊した___。
現実を認めたく無いが故に、私は二重人格に。
兄は心を閉ざし、近寄る者全てを遠ざける様になっていた。
二重人格になった私と、心が壊れた兄。
我慢なんて物は許容限界を既に超えており、私達はいつ爆発してもおかしくは無かった。
そんな或る日。
___お前ん家の両親の不注意で、相手の家族全員死んだんだってな!___
其れは、禁句だった。
兄に言ってはならない言葉で、私すら其の現実を認めてはいなかった。
___爆発した。
今まで溜め込んでいた筈の怒りを、其処にいた人間全てに二人でぶつけた。
虐めていた相手。
虐められるのが怖くて、味方しなかった奴等。
見て見ぬ振りをする、施設の人間共。
汚い。
彼奴等は汚い。
他人だからと耳を塞いで、私達を助ける事すらしなかった、彼奴等。
憎い。
彼奴等が憎い。
殺してやりたい位、憎い。
たまに声を掛けて来る奴等は、多分優越感に浸る為に掛けて来るんだ。
私達を助けて、自分は良い奴だと優越感に浸るんだ。
汚い奴等。
だから私は軽々しく声を掛けて来る奴等なんか、大嫌い。
最初は雪浪達も大嫌いだった。
けれど毎日一緒にいて、雪浪達は信頼出来る相手なのだと気付いた。
初めて、信頼出来る相手を見付ける事が出来た。
私は…優しく接してくれた雪浪達に恩返しがしたい。
私達を虐めたりしなかった、雪浪達に恩返しがしたい………。
だから、彼奴…ランボとか言う奴には、死んで貰う。
其れが…雪浪達への“恩返し”になるから。
———————————
「さぁ、何処を切ろう? 腕? 足? 指? 体? ___首?」
「ひ、ひぃい…」
情けない声を上げて後退するランボに、リオンは静かに迫る。
そんな二人の様子を見て、ボンゴレ全員が青ざめ、キュリア全員が微笑んでいた。
———怖い…怖過ぎるよ!
しかも、こんな戦い…理不尽過ぎる!
「…ボス」
「く、クローム…?」
「あの牛の子…殺されちゃうの…?」
そういうクロームの腕は微かに震えていて、顔は青ざめていた。
「私達も…殺されちゃうの…? 皆、皆…殺されちゃうの…?」
其の問い掛けに、ツナは何も答える事が出来ない。
自らでさえ、あの狂気に圧倒され、死を覚悟しそうだった。
絶望感がツナの心中を取り巻き、“死にたくない”という希望はかき消される。
絶体絶命とは、正に此の事なのだろう、と逆に冷静だった。
希望を抱く事すら出来ない絶望で、死に脅える仲間に、何と声を掛ける事が出来ようか?
口を閉じ、下を向く。
___残念だなぁ___
不意に誰かの声がして、ツナは辺りを見回す。
雪浪達の声では無く、獄寺達の声でも無いらしい。
___君なら…夜を変えられると思ったのに。期待違いだったかな?___
聞いた事の無い、低い…男の声。
背筋が凍る様な寒気に襲われ、ツナは身震いする。
其処から、声は聞こえる事は無かった。
誰の物なのか、分からない声。
———誰…だったんだろう。