二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 刹那の欠片 【REBORN!】 17話up! ( No.99 )
日時: 2011/03/30 01:21
名前: 葵 (ID: 7jw4zwan)

 18話 二十年後来る!


「そうね……貴方の事は特別にいたぶって殺してあげるわ!」


銀色に輝く糸を片手に、リオンは床を蹴った。
十年後ランボに迫る危機。
十年後ランボは涙を浮かばせ、かろうじての所で頭を下げる。
十年後ランボの頬が勢い良く切れて、十年後ランボは痛みの余り表情を歪ませた。


「ランボッ!」

「が…ま…ん…………うわあぁあああぁああぁん!」


十年後ランボすら遂に泣き出してしまい、懐から十年バズーカを取り出した。
其れを阻止する暇も無く、十年後ランボは自らに十年バズーカの発射口を当て、引き金を引いた。


___ボワンッ

___ドカァアアァアアン!



「く…ッ…くそ…ッ」


避雷針に雷が落ち、リオンは思わず宙を舞った。
地面に雷が伝うだけで、空を飛んでいれば感電する危険性も少ないからである。
しかし…宙を舞っていたせいで、リオンは十年バズーカを切る事が出来なかった事を悔やむ。
心底悔しがっているリオンを尻目に、二十年後ランボが姿を現した。


「…お前が二十年後…二十年後ともなると流石に強そうだな…」

「何の話かは分からないが………どうやら二十年前の俺が危ないらしいな。此の間も助けたばかりだと言うのに、随分と忙しいな」

「だ…黙れッ! 私との戦いに集中しろッ!」


糸を片手に、リオンは二十年後ランボに襲い掛かった。
が、二十年後ランボの方が一枚上手だったらしく、其の攻撃を難無く避け、二十年後ランボは不敵に微笑む。

———私は…負けるのだろうか…?

リオンの脳内に、“敗北”という二文字が浮かび上がった。
目の前で不敵に微笑む二十年後ランボに勝てる筈が無いと、リオンは直感的に感じた。
しかし雪浪に“恩返し”をする為……リオンは負けがほぼ確定していると分かり切っているにも関わらず、二十年後ランボに向かって突撃した。


「…ッリオン、止めろッ! もう良い!」


雪浪の制止すら聞かずに、リオンは二十年後ランボに向かって走る。


___プツンッ


嫌な音がして、リオンは思わず表情を歪めた。
リオンの武器である、絶対的強度を誇る糸が………二十年後ランボの手によって、いとも簡単に粉砕されたのである。


「…え…?」


状況を判断し切れないリオンに、二十年後ランボは静かに歩み寄る。
只静かに近付いて来る二十年後ランボに、最早リオンは抵抗出来る気がしなかった。
自分が今まで愛用し続けていて、絶対的強度を誇っていた武器をいとも簡単に切られた事は、リオンの戦意を完全に喪失させたのである。

———殺られる…。

全てを認め、リオンは静かに目を閉じた。
相手が悪かったのだと…いや、自信を持って戦いを挑んだのがいけなかったのだと、自身を否定しながら。
愛すべき妹が殺されそうになるのを、キルは唇を噛んで見守った。
キュリアの誓約書に入っているのだ。


___例え仲間が殺されそうであろうとも、自らの命を無駄にするべからず___


戦場では、一つ一つの命が惜しい。
其の為か知らないが、キュリアに入る際には此の様な誓約書に誓いを立てさせられる。
他にも誓約書には色々細かい内容が書き記されているのだが、其れはキュリアに直接入ってみないと分からない事ばかりだ。


「リオン…ッ」


雪浪や明日香…一焔でさえも、リオンが死んでしまう事を諦めかけていた。
瞬間。
二十年後ランボはリオンに何かを囁きかけ、今のランボに戻ってしまった。


「…チェルベッロ…」

「はい」

「私は…此の戦いを棄権するわ…。もう、疲れたし…。兄様、ごめん…な……さ…」


言い終わるや否や、リオンは床に倒れ込んだ。
キルが観客席から飛び出し、リオンの意識を確認しに、リオンの元へと急ぐ。
生きている事を確認し、キルは心の底から安堵の息を漏らした。
エルとキル…。
此の二人は兄妹以上の深い繋がりがあるのかも知れない。
チェルベッロはそんな二人を何処か不満そうに見つめてから、観客席の方を向いた。


「………という事なので、今回の戦いはボンゴレの勝利です。次回は……キル・リオンvs山本 武…。つまりは雨戦の戦いです。明日も此の時間に此の場所で行われますので、遅刻などの無い様にお願いします」


では、と呟き、チェルベッロ機関は足早に帰ってしまった。
キルは静かにリオンを抱き上げ、山本をキツく睨むと、去って行った。
其れに引き続いてか、雪浪や明日香…一焔やロキも姿を消す。
ふと、山本は呟く。


「なんかあのキルとか言う奴…獄寺みてぇだな!」

「ハァ!? 何言ってんだよ、此の野球馬鹿!」

「だって、舌打ちとか睨んで来たりとか…よく似てるぜ?」


ニコニコと笑う山本を見て、ツナはやっと戦いが終わったのだと実感する。
放置され気味だったランボを連れ、ツナ達は無事雷戦を終えたのだった。









___明日は雨戦…。