二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 刹那の欠片 【REBORN!】 18話up! ( No.100 )
- 日時: 2011/04/27 23:10
- 名前: 葵 ◆ufwYWRNgSQ (ID: 7jw4zwan)
19話 禁忌弾来る!
———————————(キル視点)
「良かった…」
心の底からエルの無事を安堵した。
辛い時も悲しい時も一緒に乗り越えて来た、俺の大切な妹。
死ななくて良かった。
俺の、たった一人の肉親。
「キル、明日…………」
頑張ってね、と雪浪は呟いて、キュリアのメンバーを連れて去って行った。
エルの長い睫毛が揺れ、緑色の瞳が俺を見た。
リオンじゃなく、エル。
オドオドした様な感じで、エルは瞳に涙をいっぱい浮かばせた。
「兄様ごめんなさい………私が…私が、弱かったから…」
ボロボロと堰を切った様に、エルの瞳から涙が溢れた。
抱き抱えていたエルをそっと下ろすと、俺はギュッとエルを抱き締める。
エルは嗚咽を漏らしながら、俺の胸の中で泣く。
………ずっと前に俺が心を壊してから、エルはずっと俺の側にいてくれた。
お互いに限界を超えていた筈なのに、エルだけは気丈に振る舞っていて。
そんなエルを見ていたら、忘れていたはずの笑顔を自然と浮かべる事が出来た。
「エル…お前はよくやった。後は……俺に任せろ」
「兄様………」
安心したのか、エルは眠りに落ちた。
エルを守る為に…俺は戦う必要がある。
俺は確かに精神面では脆いが、体力面では相手に劣る様なヤワな鍛え方はしてない。
………確実に、勝機が此方にある。
例え命を落とす様な壮絶な戦いになったとしても、俺は……逃げない。
雪浪達の為…否、エルの為に。
俺は静かにリングを握ると、エルを抱えて歩き出した。
「………ふぅん。随分とご執心みたいだね」
「…そうみたいですねェ」
そんな声がしていた事すら、気付かずに———。
———————————
次の日。
久し振りの学校も終わり、ツナは内心、不安でいっぱいであった。
山本はツナとは違い、野球で活躍する人物だ。
山本自身まだ野球を続けたいと思っているのだから、更に辛い。
万が一山本が怪我をして、野球を続けられなくなったら?
以前スランプに陥っただけで自殺未遂をしかけた山本なのだから、野球が続けられなくなったりしたら、山本は生きる希望を無くすだろう。
ツナはこんな戦いのせいで、山本の野球人生を潰したくはなかったのだ。
「なぁリボーン…」
久し振りに一人で家に帰るのが妙な感じで、ツナはリボーンと一緒に帰っている。
「もし、山本が野球やれなくなったらさ…」
「確実にお前のせいだろーな」
「ちょっとは柔らかく言えよ! ……でさ、相手のキル・リオンって…何者?」
チラリとリボーンを見ると、リボーンは怪訝そうな顔をした。
———ひぃ…。
俺、禁句言った……!?
「…………キュリア内では最弱と噂されているが、定かじゃねぇらしい。何故かと言えば、彼奴が殺る前に妹が殺るからなんだ。だから、まともに戦ってる所は誰も知らない。今夜……山本の運と実力が試されるだろーな」
リボーンは静かにそう言う。
だが、キュリア内で最弱とは言えど、どのみち強い事に変わりは無い。
強いから幹部にまで登り詰められたのだから。
つまり、決して手を抜ける相手では無いという事だ。
ツナはゴクリと生唾を飲んだ。
「あっ………ヤバ! 遅刻だ!」
「………流石ダメツナだな」
走り去るツナに、リボーンは毒を吐く。
そんな事も聞く暇すら無かったのか、ツナはリボーンを置いて行ってしまった。
「……ダメツナ、ダメツナと馬鹿にする割には、随分と信頼しているのは何故だ?」
後ろから凛とした声がして、リボーンは振り返り、声の主に銃を向けた。
声の主は参ったと言わんばかりに、両手を上げる。
「夜…お前に言う義理はねぇぞ」
「ふっ……そちらから戦いをやろうと誘ったのを忘れるな、リボーン。此方はあくまで、お前の言い分に従っているのみだ」
リボーンは銃をしまうと、キッと夜を睨み付けた。
だが直ぐに悲痛そうな顔に戻り、夜に背を向けた。
「……確かに俺等がお前の家族にしてしまった事は、許される事じゃない。だが、お前は…禁忌を犯してる」
ビクッと夜の肩が震えた。
———煩い…煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い!
闇も殺し、両親も殺された!
其のボンゴレを倒そうとするのは、当たり前じゃないのか!?
「う、るさいッ!」
「ツナに触れた時……瞳の色が変わった。あれは、ボンゴレへの拒否反応だろ?」
———違う!
違う違う違う違う違うッ!
「夜…お前…父親が作っていた、あの弾を改良して………何をした? 青の瞳はお前の弟…闇の色だろ?」
———改良…改良して……。
私は…私は闇を…。
分からない…頭が…………重い……痛い…。
___駄目___
___まだ…まだ夜は思い出す必要は無いよ___
夜の意識が混濁し始め、“夜”は意識を失った。
「答えろ、夜!」
「………答える義理は無いよ? 其れに今…“夜”は寝てるんだから、静かにしてあげたら?」
いきなり言葉遣いと雰囲気が変わった夜に、リボーンは舌打ちする。
今目の前にいる夜は、“夜”じゃない。
リボーンは其れにいち早く気付くと、夜を睨み据えた。
「夜…やっぱり完成させてやがったか。禁忌の弾…『復活弾・改』___!」
リボーンは少しだけ恨めしそうに呟いた。