二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 刹那の欠片 【REBORN!】 5/18up! ( No.147 )
- 日時: 2011/05/28 22:36
- 名前: 葵 (ID: w731Gq1j)
- 参照: あっははははははは〜ぁ……
29話 六道 骸来る!
「……これで終わり、なら随分とロキの修行は生温かった様だな?」
ロキを見て、ほくそ笑む明日香。
それに対し、ロキも笑顔のままだ。
まるで、まだまだ自信がある、とでも言いたげに。
「まぁ俺が鍛えたのは其処の子じゃないしね? 実質、彼女を鍛えたのは数日だ。彼女の主……六道 骸と戦ってみたんだ♪」
「…………クフフフフ……随分と喧嘩を売ってくる女性の様だ」
いつの間にか辺りは霧で包まれ、怪しげな笑みが辺りにこだまする。
ゾクリと皆の背筋が凍りそうな程、恐ろしい笑い声。
明日香は先程までクロームがいた筈の場所を見て、驚嘆する。
クロームなど何処にもいない。
いるのは___。
___六道 骸だけ。
「ほら、ね。だから油断はしちゃいけないんだよ、明日香」
ロキが少し楽しげに笑った。
———————————(???視点)
……どうして。
どうして、見付からないの?
これだけ探してる。
もう、日本に来てから数ヶ月は少なくとも経ってる筈なのに。
手掛かりはおろか、目撃情報すら無い。
何故?
「……一人で探すという方法が悪いのかも知れないわね」
だからといって、私には仲間なんていない。
どうすれば……。
「もしかして、日本にはいないのかしら……」
矢張り、自分自身で見付ける以外の方法は無いという事なのだろうか。
私は深い深い溜め息を漏らし、項垂れた。
月が、凄く綺麗な夜だった。
———————————
「六道 骸、か」
「そうです。貴女は……由良 明日香と察しますが?」
「お察しの通りだ……お前に知れる程とは、私も意外に捨てたものじゃないな……」
楽しげに口角を上げ、明日香は笑う。
これから始まるであろう戦いを楽しみだと言うのだろうか。
————骸……。
明日香って人は、一発でクロームを倒したに近いのに……。
流石の骸だって……勝てる訳無いんじゃ……。
不安げに見つめるツナと、周りの守護者。
クロームですら簡単にやられてしまった相手に対し、骸は勝つ事が出来るのか。
守護者全員がそれを気にして……それだけを考えていた。
「さて……貴女にはとりあえず……」
「————凍って貰いましょうか?」
冷淡な声が、体育館に響いた。
その声にゾクリと明日香の背筋が凍り、守護者ですら背筋を凍らせた。
「確かに……クロームと貴女は相性が悪い。ですが……私と貴女は相性が宜しい様だ」
「くっ……!」
明日香が手を天高く掲げ、いきなり先程より激しく雪が降り出した。
最早雪山で遭難しているのではないかと思う程の吹雪であり、“寒い”という感覚すら超越し、むしろ寒過ぎて温かく感じ始めるのではないかという程。
ごぉぉおぉ……と音を立てて降り続けている雪に、明日香は多少の安堵を覚えた。
いつもの通り、明日香に寒さは感じない。
つまり、この降り積もりつつある雪は、全て明日香の能力により降り積もった雪であるという事実だ。
万が一明日香が寒さを感じた場合には、それは……。
___骸の幻術に、自らが負けたという事を意味するのだ。
————六道 骸の気配は感じない……。
完全に死んだか……?
明日香は辺りを見回すも、吹雪で周りが見えない。
敵が辺りの状況把握を出来ないのに、此方も状況など分かる筈も無い。
明日香が少しだけ吹雪の力を緩めると、数メートル先の視界だけは効く様になった。
だが、視界に骸は映らない。
銀世界が広がるのみで、人っ子一人見当たらない。
どうやら、これ以上体育館内にいるのは危険だと認識したチェルベッロが、緊急退避させたらしい。
ボンゴレ側も、キュリア側もいない。
「何処だ……何処に!?」
「貴女の、直ぐ後ろです」
直ぐ後ろで骸の声が聞こえ、明日香は自身の武器である二つの刀の内一つを片手に、勢い良く振り向き、振り向き様に骸の顔に突き刺した。
血を流し倒れる骸を見て、明日香は安堵の息を漏らす。
肩で息をし、呼吸を整える。
もう一度死んだ骸に目を向けると、其処にある筈の死体は綺麗さっぱり無くなっていた。
「!? そんな……まさか!?」
「その、まさかですね」
また直ぐ後ろで声がして、明日香は振り向いてから其処にいた骸を刀で薙ぎ払う。
だが、それは幻覚。
砂の様にさらさらと消えてしまう骸。
————何が……。
何が起こってる……!?
まさか……まさか、私が六道 骸の術中に嵌められたとでも言うのか……!?
「ご名答です」
「……っまた……!」
明日香の目の前に現れる骸は、全て全て幻覚。
殺しても、殺しても、幾ら倒しても、現れる。
完全に、明日香は骸の術中に嵌ってしまっていた。
「まぁ、そんな強情な貴女には悪夢をプレゼントしようじゃありませんか」
「……っ! 必要無い! 私はまだ……まだ、術中に嵌ってなど!」
「——————手遅れですよ。私が出て来て直ぐ……貴女に語り掛けた時。あの時……既に、貴女は私の術中に嵌っていたのですから」