二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 刹那の欠片 【REBORN!】 5/29up! ( No.152 )
- 日時: 2011/06/01 22:58
- 名前: 葵 (ID: w731Gq1j)
- 参照: あっははははははは〜ぁ……
特別番外編 ある日のなんでもない日
「……暇過ぎない?」
ふっと、思い出した様に一焔が呟いた。
一焔は現在、仰向けに寝ている状況である。
その横でお茶を飲む明日香と、彗の頭を撫でているロキに、不機嫌そうなキルの横で慌てているエルに、トイレから出て来たばかりの雪浪。
全員が一焔を見、一瞥する。
全員から、お前だけだろという感じの視線が浴びせられる。
「すまないが、私はこのお茶さえ飲み干せば仕事がある」
「俺は一応彗といるから、暇じゃないよ?」
「チッ……お前と俺は違う」
「あの……誠にすみませんが、私達もこの後は仕事でして……」
「うちもロキ様とおりますさかい……暇ではありませんがね」
「見た通り、俺はこれから皆用のお茶を作らなくちゃならないから……暇じゃないかな?」
「…………」
ふんっと鼻を鳴らし、一焔はうつ伏せになり、拗ねた様に頬を膨らませた。
そんな一焔に、全員が呆れた様な顔をする。
またか、とばかりに。
一週間に一度ぐらい、必ずこんな事が起こる。
一焔が仕事の無い時……そして、皆が誰も相手をしてくれない時だ。
「一焔、我慢しろ…………仕事を終わらせ、早く戻って来れさえすれば幾らでも相手をしてやる。どうせ、大富豪だろう?」
「いっつも一焔さん負けますからなぁ」
「うっさいわよ、彗!」
「でも、彗の言ってる事はあながち嘘じゃないけどなぁ♪」
ロキに言い当てられ、一焔は更にむくれる。
毎週恒例、大富豪。
それに毎回毎回一焔は連敗を期しているのだが、今回こそ今回こそと言い出して、かれこれ二ヶ月になる。
「彗さんとロキさんは正直暇なのに……やってあげたらどうなんですか……?」
「暇じゃないよ? 実際暇じゃないんだけど、仕事をサボって此処にいるだけだから」
「ほんま、いい加減に仕事したらどうですか?」
そう言う彗をガン無視のロキ。
どうやら、今日本当に暇なのは一焔だけらしい。
雪浪は!? と目を輝かせて一焔は問い掛けたが、雪浪はキュリア幹部全員の雑務をこなしている為、暇な訳が無い。
因みに、掃除・炊事・洗濯全て雪浪がやっている。
勿論、雪浪以外にもたまにはやっているのだが、やってくれるのは明日香とエルぐらいである。
一時期は当番表的な物を決めていたのだが、最早無駄だと気付いた雪浪は自主的にする様になっていた。
「一焔やキルやロキや彗がやってくれれば、俺にはたっくさん休みが出来るんだけどな?」
「……やっぱ良いわよ」
掃除・炊事・洗濯共に苦手な一焔は、直ぐに雪浪からの無言の圧力を逃れる。
ロキやキルや彗は出来るのだが、面倒臭いからやらないという理由だ。
というか、彗は実質幹部では無いのだが、ロキの金魚のフンの様にくっついている為、最早幹部の様になっている。
「……でも、やっぱり暇な事実に変わりないわよ……」
「…………仕方無いな。一度だけ、大富豪でもするか?」
その一言に、一焔がバッと座り直す。
余程嬉しかったのか、一焔の表情は輝いている。
明日香は仕方無いなと言わんばかりに、溜め息を漏らしながら慣れた手付きでトランプを箱から出した。
トランプをくり、パッパッと皆に配る。
不機嫌そうなキルも、忙しそうな雪浪もいつの間にか参加していた。
それに一焔は満足そうに頷いて、配られたトランプを見る。
「……今日は私、勝てるんじゃない?」
「どうかしたか? 随分余裕だな」
「いや、だって……」
「気を抜かない方がえぇですよぉ。前もそんな事言うて、負けとったやないですか」
「黙りなさい、彗!」
一焔が怒鳴ると、こわ、と彗が呟いた。
————今日こそ……。
今日こそ、負ける訳にはいかないのよ!
通算およそ何連敗になるかも分からない様なもの、今日で断ち切ってやるわ!
一焔はそう誓い、一人で大きく頷いた。
一焔の手札にはジョーカーがあり、更には2が2枚あった。
これが、一焔がもしかしたら勝てるかも知れないと考えた理由でもあった。
…………だが。
そんな安易な考えは直ぐに打ちのめされるという事を、一焔は全く気付かない。
「さぁ、早くやるわよ!」
意気揚々とカードを出していく一焔に向かって苦笑いを浮かばせるキュリア一同。
((((((また、一焔負けるだろうな……))))))
そんな考えを抱きながら、キュリア一同は深い溜め息を漏らすのだった。
————
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