二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 刹那の欠片 【REBORN!】 6/4up! ( No.161 )
日時: 2011/08/08 15:23
名前: 葵 (ID: 5Zruy792)
参照: あっははははははは〜ぁ……

 32話 狂気来る!



 目覚めれば、私の事を心配そうに見つめるキュリアの面々がいた。
 相変わらずロキは心配そうじゃなさそうだけど、それもロキらしいなと思った。
 けれど。
 直ぐに気付いてしまった。
 私は、六道 骸に……負けてしまったのだと。
 否、六道 骸の幻術に負けてしまっていたのだと。


「……ッ……す、まない、雪浪……」
「……え?」
「私は……お前等の役に立てなかった……ッ」


 そう呟くと、雪浪はニッコリと笑った。
 そして、近くにいたエルも、なかなか見せてはくれない笑みを覗かせた。


「……何を言ってるんですか……? 明日香さんは勝てました……六道 骸はロキとの修行の際に力を使い過ぎ……明日香さんを放置し、元の体に戻ってしまったんですよ……」
「……え……?」


 話が理解出来ない。
 分かるのは、私が皆の役に立てたのだという事。
 そして____。




____私の復讐相手が、百蘭という者だという事。





「明日香……お疲れ」


 雪浪は笑顔でそう言って、最後まで粘ってくれてありがとう、と付け足した。




—————————(キル目線)




 ……おい……。
 お前等……何処へ行くつもりなんだ……?


 気付けば、俺は知り合い____顔が見えなくてよく分からない____を追い掛けていた。
 顔は分からない……けれど、あいつ等は……見覚えのある後姿をしている……。
 見間違いかも知れない……。
 けど、あいつ等は真っ暗な中……二人で走ってるんだ。
 俺はそれを必死で追い掛けてる……あいつ等、あんなに足……速かったっけか……?


「……っ……おいっ! 待てって!」


 俺の引きとめなど気にも留めず、二人は走る。
 俺は何とか追い付こうとするのだが、二人には追い付けない。
 何故だかこれを放っておくといけない気がして____俺は必死で走ってるんだ……。


「〜〜〜っ————! ————!」


 俺が二人の名を呼ぶと、片方は今まで走っていたのに、ピタリと足を止めた。
 もう片方は闇に消えて行くのだが、片割れは止まったまま。
 俺が片割れに追い付きそうになった時____そいつは俺の方を向いた。





____あいつは……泣いてるんだ……。


「おまっ……何で、泣いて……」
「……止めて……」
「へ?」
「止めて欲しいんですっ…………私じゃもう……止められ、な……————」


 そいつの言葉が切れたと思えば、そいつの胸には刃が貫通していた。
 驚きのあまりか、痛みのあまりか……そいつは言葉を失う。
 そいつの目から涙が溢れ出し、血を口から吐き出す。
 そいつは刺した張本人の名を何度も愛しげに呟きながら、涙を流すんだ。
 ズッと刃が引き抜かれ、そいつは膝から地面へと崩れ落ちる。


「……俺は言っただろ? 否、言った筈だろ? 他言は無用……他言した場合は、処刑すると」
「私……は……——————」
「おいっ、止めろよっ! ————が苦しんでるってのに!」
「俺は別に構わないさ。そいつはあくまで、利用価値があるから扱っていたまでだ。役に立てない者に、存在意義など無いってものだろう」
「て、めぇ……っ!」


 殴りかかろうとした瞬間、足元の“そいつ”が、俺の足を止めた。
 そいつは、涙ながらに……その通りだから、私の事は見捨ててくれて良いって言うんだ。
 反論しようとした時、既にもう一人の姿は無かった。








「私が……悪いんです…………あの人を……少しでも愛した……私……が……」


 そう呟いて、そいつは息絶えた。
 息絶えたそいつを見て、俺は泣いてしまった。
 泣く事をやめる事など、出来なかった。




——————————(???視点)




 馬鹿らしい。
 全て、全て馬鹿らしい。
 生きる事も、生きる事に執着する事も、生きていた事を喜ぶ事も。
 誰だって、死ぬ時は死ぬんだよ?
 そんな事も理解出来ずに……何をしてるんだろうか?






 諦めろよ?
 死んでしまう事を諦めろ。
 嗚呼、呆気無い人生だったんだって、諦めろ。
 人間全て、諦めた時が一番美しいんだから。











____皆、皆諦めてしまえ。