二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 刹那の欠片 【REBORN!】 6/13up! ( No.171 )
- 日時: 2011/08/08 15:25
- 名前: 葵 (ID: 5Zruy792)
33話 “何か”来る!
——————————(夜目線)
ボンゴレ霧の守護者と由良 明日香との戦いが終わり、キュリアの奴等は気の抜けた様な顔をしていた。
私はそれを見て、舌打ちを溢してからその場を去る。
キュリアの奴等は馴れ合いしてはならぬのだと聞いていたから、そのペナルティとしてお互い仲良くなど無いのだと思っていた。
だが、考えていたキュリアなどとは程遠い。
生温い。
こんなので、私がキュリアに入ろうなどと思える筈が無い。
カツカツと足音だけを響かせて、私は学校から足早に立ち去ろうとした。
……その時。
「あ、の!」
弱々しく、私を呼ぶ声がした。
ふと振り返れば、少々怯え気味で私を見つめる二つの眼があった。
何故呼ばれたのか検討すらつかず、私は思わず怪訝そうに眉を潜めてしまう。
それに気付いてか、彼————沢田は手短に終わりますからっ、と言葉を付け足した。
「沢田か…………どうした?」
「えっと……学校以外で話した事が無いと思って……」
今、私は彼のクラスの臨時の担任だ。
いくら敵対し合う仲だと言えど、学校では至って普通に話す。
だが確かに、こうやって戦いの場で話した事は無かった……様な気がする。
それはあくまで話す必要が無かったからであり、私も沢田も話すつもりが無かっただけだろう。
「先生は……どうしてボンゴレを恨んでるんですか……?」
核心を突かれ、思わずビクリと肩が震えた。
それに気付いてか、彼は答えたくないなら良いですから、と付け足す。
どうやら沢田は相当空気を読める人の様だ。
「沢田は的確に核心を突いてくるな……」
「嫌な事なら、無理にとは言いませんけど……気になって」
「……そうだな、沢田にならいつかは話してやろう。この戦いでもし沢田が勝てば、言うのを考えてやっても良い」
その言葉に、沢田は嬉しげに笑った。
「嗚呼……月が綺麗だな」
「……はい……」
空を見上げれば、満月に近い大きさの月が闇を照らしていた。
月の光が影を生み、それのせいで余計に夜は怖く思えてしまうのだと思う。
けれど、私はやはり夜が好きだ。
隣で何か出て来るのでは、と怯えている沢田は違うのだろうが。
不意に。
誰かの視線を感じ、私は勢い良く振り向いた。
沢田は全く感じていなかったらしく、いきなり振り向いた私に驚いた様な表情をしている。
後ろには誰もいない。
なのに、何故視線を感じたのか……私も分からなかった。
「……先生?」
「すまない……どうやら戦いの見過ぎで少し疲れているらしい……一人にしてくれないか?」
「あ……はい、すいませんでした……」
沢田は少し悲しげに分かったと呟いてから、手を振りながら去って行った。
この夜中に一人で帰らせるのはどうかとも思ったが、沢田は女ではないし、何よりボンゴレのトップになろうという人物なのだから大丈夫だろうと踏んだ。
沢田が去ってしまうと、一気に辺りは静まり返る。
先程感じた視線が誰から発されたものなのかは、私にも分からない。
けれど、何か怖い物が蠢き始めているのだと、何となく私は理解し始めていた。
何か……私の憶測を越えた物が、何処かで____。