二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- 哀しい結末なんて、いらない。 ( No.140 )
- 日時: 2011/05/16 19:29
- 名前: 如月 ◆QWE8ZSUilM (ID: ppbZlmwS)
※不謹慎かもしれない
※死ネタ
※※私としてはハッピーエンドなのですが、他の方から見たらそうではないかもしれません※※
「 」
出した言葉は声にならなくて。
深い深い海の中、自分だけしか居ないのかと錯覚してしまって、不安になって。
ふと顔を上げると愛しい貴方が微笑んでいる。
苦しくて海の中か外かも分らなかったのに、貴方と居るだけでこんなにも楽になる。
このまま貴方と一緒になれる。
国なんてしがらみを無くして、海の中で二人きり。
「 」
聴こえなくても伝わってます。
だって私と貴方は同じことを考え、言っているんだもの。
「あいしてます」
「あいしてる」
このままずっと、海の中で二人きり。
『本日午後、インド洋に位置するセーシェル共和国が
地球温暖化により水没し、地図上から姿を消すことになりました。
また同時刻に、イギリスを形成する4つの国のひとつ、イングランドが原因不明の津波により水没しました。
専門家は原因の調査を—…』
*
「あーあ、ついにやっちまったか」
テレビに映る臨時ニュースを観ながら、ワイングラスを傾ける。
暫くの間、国際会議は大荒れになるか…あるいは重苦しい空気でいっぱいになるだろう。
「あの大国のガキはどう出るんだろうねぇ…」
意外と兄離れできてない所もあったしね。
…と思っていたらやはりと言うべきか、携帯と電話が一斉に鳴り出した。
おそらく電話の相手は上司だ、いきなり隣国が海に沈んでさぞ焦っていることだろう。
携帯にはあの大国の名前が表示される。
さてどちらに出ようかなんて考えて、出ることを止める。
愛しい隣国と愛しい島国が沈んだ理由はただ一つ、愛する者と一緒になるためだったのだ。
理由を知っているのは俺だけだろう。
鳴り止んだと思ったらまたかかってくる。
そのまま携帯の電源を切って、電話のコンセントも抜いておこう。
二人静かに逝かせてやろうじゃないか。
水中心中
(こうして人魚姫は泡となり)
(愛しい王子様と結ばれました)
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去年から頭の中で練って練って練り直していたお話です。
私としては十分にハッピーエンドなお話なのですが
友人A「お前の感覚はおかしい」
友人M「二人は報われただろうが読み手が報われんぞこれ」
友人H「一昨日きやがれ」
フルボッコにされたよ!不思議!
*補足的な何か
大国はアメリカ、後半のメインはフランス。
話の流れはまずセーシェルが地球温暖化で海に沈んでしまう、となります。
イギリスと離れてしまうのが怖いセーシェルに、イギリスはこう言います。
「俺が一緒に逝ってやる、お前は独りじゃない。」
そうして人魚姫と王子様の心中物語が始まります。
ここまでのご観覧ありがとうございました!