二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【学園アリス】幸せを求める愚か者 ( No.12 )
日時: 2010/12/04 23:21
名前: 無幻 (ID: 8hgpVngW)



「蜜柑が……っ、蜜柑が連れ去られたわ…っ」


私は気が付かぬ間に走り出していた。何処に行ったかも知らないのに、足が勝手に動く。


「雅楽乃ちゃん!!君が行って連れ去られたら元も子もない!!一旦止まるんだッ!!」


鳴海先生の必死の叫びも無駄になり、私は走る足を一層速くする。


「きゃっ!!」
「おわっ!!」


誰かにぶつかった。でも今はそんな事気にしてる場合じゃなくて、私はまた起き上がり走り出す。「おい、待てって」私はぶつかった人に手首を持たれて、こけた。


「……雅楽乃、落ち着けって」


不意に抱きしめられる。過去何度も感じた温もりに浸りながらも意識を活性させ、心だけが蜜柑の元へと駆け出していく。


「…………朱兄、今それどころじゃ…っ」
「なあ、何処行く訳??愛しのお兄様を置いてさ」
「…朱、それ誰…」


私の兄、深谷 朱と、左目の下に小さな星マークのある朱兄と同い年くらいの男の子が居た。
朱兄は「妹」とだけ説明し、頬にキスをする。こういう所が朱兄の勿体無い所だと思う。折角格好良いのに、ってそんな場合ではない事を思い出す。


「あれ、ルカぴょんじゃんか、それに先生達も」
「雅楽乃はかわいーなー……げふっ」


朱兄の腹に拳を一つ入れる。朱兄はそれでも私を離さずに抱きしめている。そろそろ苦しくなってきた。


「朱兄…離して……っ」
「やーだー♪」
「お前……妹に何してんの」
「だって俺、雅楽乃愛してるもん♪翼は妹とか居ないから分かんないだろーけどさ」


普通の兄妹とかはそんなに愛し合ったり、一方的に愛したりとかもないから。朱兄が異常なだけだから!!
私は兄妹愛とか認めないタチなので丁重にお断りさせて頂こう。
朱兄は好きだけど、あくまでも兄として、だから。そういう関係にはなりたくないわけで。


「ねえ、朱兄??」
「なーにー、雅楽乃」
「離さなきゃ朱兄と一生話さないから!!」


朱兄はしぶしぶ引き下がる。それでもまあ一応、朱兄は使わせて貰う。
翼と呼ばれた少年にも、一応。私が見るに、あの左目の下の黒星は罰則印的なだと思うから。それをつけている辺り、強そうだし。
それに、流架君とかと知り合いなら蜜柑ちゃんとも知り合いそう、という女の勘が今初めて開花したような。


「えっと、翼先輩、でしたっけ」
「おう??」
「今、私のクラスの蜜柑ちゃんが……っ何者かに攫われたみたいです。お力を貸して下さい」
「まじか?!」


翼先輩は心配そうな表情と、怒りに満ちた形相と、両方の表情をしているので大変そう。朱兄は攫われたという単語でお母さんを連想したらしく、私と顔を見合わせた。


「…………朱兄」
「何」


先程のちゃらちゃらした態度はすっかり抜け落ち、真剣な目つきに変わる。


「あのね、これ、持ってて」
「……お守り??うーれしーなー」


十字架のネックレスを朱兄に渡す。朱兄の首に付け、私は立ち上がる。
『無機物潜水』のアリスを発動させ、膝まで床に埋まる。


「私、お母さんのトコ行くわ。大体、場所は創造つくの。だから、ね??」





















「貴方達は、次の犠牲者を減らす事に徹してくれればいい。蜜柑ちゃんは、必ず連れ戻すから」