二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: もう一つの獣の奏者 ( No.14 )
- 日時: 2010/12/17 00:02
- 名前: スズ ◆ixbyCx13Wk (ID: OWe0NuL4)
- 参照: +第5話+
その日の晩御飯の事だった。ソヨンは少し不思議に思いながら2人の子供、エリンとイアルを見比べていた…。
イアルの荷物の片付けの後から2人の様子がおかしいのは気付いていた。
しかし、「何かあったの?」とは聞くわけにも行かずどうしようと頭を悩ませていたのだ…。
いつもなら今日一日の出来事を聞かずとも話してくれる娘も今日は少し様子が変…そうなると晩御飯がいつもよりも静かで寂しく感じる。
「そういえば…エリン、イアル君ちょっと話しがあるの。
明日から3日間、闘陀関係の仕事で少し遠出をしなくてはならなくなってね、エシュラ小母さんの所に泊まっててもらえるかしら?」
「うん!分かったよ!お母さん!」
「イアル君も良いかしら?」
「はい、大丈夫です…」
「良かった〜。
エシュラさんはね、それはそれは優しい方だからきっと親切にしてくれるから心配しないでね。
ただし、2人とも喧嘩か何か知らないけれど今のままだったらエシュラさんも困るから仲直りしておく事!いいわね?」
エリンとイアルは少し驚いてお互いの顔を見比べた。
確かに喧嘩ではない事は分かってるけれど、何となく気まずくってあれから話していないのにいまさらながら気付いたからである…。
晩御飯が終わり、イアルは自分に用意された寝床に胡坐をかいて座りながら考え事をしていた…。
「隣、座るね?」
申し訳なさそうに少々遠慮しながらもエリンが隣に座ってきた。
「うん…」
何となく気まずいこの沈黙を破ったのはエリンだった。
「ごめんね、不安にさせちゃって…私、怖くなったのイアル君の事が…。
でも、大丈夫って言われて大丈夫なんだって思ったよ!その後ちょっとイアル君に話しづらくなっててどうしようって思ったけど、仲直り?しよ!!」
彼女は眩しい笑みを浮かべながら手を差し出してきた。
自分より歳は下のはずのエリンが随分大人に見えたのが少し情けなく思えたけれど、イアルは素直に彼女と仲直りの握手をした。
それは、イアルにとって星のキレイな夜に交わした小さな誓いでもあった…。
『目の前に居る少女を何があっても不幸にしない』
そう誓った…。