二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: もう一つの獣の奏者 ( No.18 )
日時: 2010/12/21 17:17
名前: (梓!*、 ◆hLMPZ4CBa. (ID: aU3st90g)

書かれてないので更新する)
トリップ変えました!



*第9話*


「——……家族を、守るため——……」

イアルはそう呟くと、少し考え込むように目を閉じた。
アリエスは気づかないのか、顔を真っ赤にして知りたいことを質問するエリンに答えている。

「えさを求めているからじゃないのですか?」
「ええ。ほら……——見える? 手前から右に2本目の老木に、鷹がいるでしょう」

エリンの瞳は、鋭い目で鳥を睨んでいる鷹を捕らえた。

「でも、あの鳥のお腹は膨らんでいます。子を守るのには、飛ぶしかないですよね。飛んで逃げるしかないですよね?」
「勿論、そうね」

アリエスは何故そう言うことを問うのか分からなかったが、とりあえず頷いた。

「飛べば、お腹にいる子にもお母さんにも……——負担がかかるでしょう?」

怯えた目でそう言ってしゃがみこむエリンを見て、アリエスは吃驚した。

(そうか、この子は何かを抱えている。それを極端に聞き出すのは不味いわね)

アリエスはエリンと目線を合わせると、ゆっくりと教えた。

「あの鳥なら大丈夫よ。羽をゆっくり、ゆっくりと動かして飛ぶから、母親は少し疲れるかもしれないけど子はゆらゆらして逆に嬉しいと思うわ」

エリンは涙のたまった目をパチパチと動かしながら、立ち上がった。


「良かった! アリエスさん、教えてくれて有難うございます。——……あれ、イアル君? どうしたの?」

何時の間にか空を見上げていたイアルを見てエリンは問うた。

「俺は、あの鳥みたいだと思って——……売られたときを思い出してた」
「売られ——」

そこまで言ってエリンは口を紡いだ。
まるで、過去の調べを拒むかのように——……。