二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: もう一つの獣の奏者 ( No.42 )
日時: 2011/03/21 17:36
名前: スズ ◆ixbyCx13Wk (ID: OWe0NuL4)
参照: +第22話+

「じゃあ行ってくるわね〜!」

次の日の昼過ぎの事だった、ソヨンはいつも通り夕飯の支度として森に出かけた。
エリンとイアルはソヨンのこの声を合図に身支度を始めた。
ソヨンは早くても夕方まで帰ってこない。この時間が唯一の、決行できる時間であった。
イアルは内心、申し訳なさが募り募ってエリンに中止しようと持掛けそうになりながら、それは甘えであると強く自分に言い聞かせた。
当のエリンはただただエシュラさんに会うことのみを考え、ただ真っ直ぐに自分のする事を一つ一つ丁寧に頭の中で繰り返していた。
二人が家を出たのは、ソヨンが家を出てたった10分後の事であった。
「ねぇ!イアル君!この道でいいよね?」
「道順はエリンの方が詳しいから、エリンの行きたいように行ったら良い。間違えてても俺は怒らない…」
「…何だか、信じてもらえてないみたい!」

2人はそんな会話をしながら森の近道を大急ぎで走る。もしも此処でソヨンと出くわしてしまっては2人の計画は終わってしまうからである。
やっとの思いで森を抜けると、少し大きな家が何軒か並ぶようにして建っていた。
この中のどこかの建物が罪人の居る刑務所である。
此処からは小さな子供にとっては一か八かの賭け、どの建物に入るかで全てが決まってしまう。
もしも目的地とは違う所に入ってしまっては、ソヨンにも他の大人たちにも間違いなく怒られてしまう…エリンとイアルに緊張が走った。