二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: もう一つの獣の奏者 ( No.43 )
日時: 2011/03/21 17:37
名前: スズ ◆ixbyCx13Wk (ID: OWe0NuL4)
参照: +第23話+

イアルの心の中は不安しかなかった。
エリンを守らなければいけないと思う反面、自分にいったい何が出来るのか?大人にかなうわけが無い……。そう思っている自分もいた。
一方のエリンはイアルの横顔を見て自分たちの行っている行動に少し迷いが出始めた。
イアルを見ていると不安の表情しか見せてくれず、話しかけても無理に笑っているように見えた。自分がそうさせたのじゃないかと思うと、今からすぐに自宅へと戻り、元通りの平和な生活をすべきだとも思った。
2人の子供は迷っていた。そして少しの後悔もあった。けれど、超えなければいけない壁だと2人とも自分に言い聞かせる。

2人の今居る森を越えた先にある小さな住宅街のような場所は、【住宅街】等という平和なものではなかった…。
この場所は、罪に問われたもの達のみが住む刑務所を町にしたものであった。
此処で暮らすものは、多かれ少なかれ罪を犯した者達である。しかし、此処に死刑囚などはいない、そして罪を償えばすぐにでも元の家に戻る事が出来るのである。
しかし、此処の家には表札など自分の存在を示すものは無い。全て、即席で付けられた数字のみが、家の扉にでかでかと書かれているだけである。だから、外部の人間にはどこに誰が住んでいるのか分からない仕組みになっている。

いよいよ2人の子供たちはこの刑務所の町に踏み込んだ。