二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 〔銀魂〕___雫ヲ流ス ( No.125 )
- 日時: 2011/03/23 15:33
- 名前: 瑠々 (ID: .qxzdl5h)
第十九話 桜咲く
淡い紅色を帯びた花びらが、くるり、くるりと宙を廻って地に落ちる。
瑠璃は桜並木道を歩きながら自分の黒い髪に引っ付いた花びらを指で摘んでは息を掛け、ヒラヒラと飛ばし、遊んでいた。
つい数週間前まで手足が凍りそうな程寒かったと言うのに。
気温が暖かくなるのは良いこと。
でも瑠璃は、まだ、寒いままで良いのに、と思ってしまう。
何故なら、六月には江戸を出るからだ。
ただ江戸を出るだけならまだしも、瑠璃の場合、地球から出てしまう。
そうなると、今迄知り合った人にしばらくの間、会えなくなる。
そう言う所は、鬼兵隊に入った事に少し、後悔する。
(・・・もう4月。あと二ヶ月で六月か・・・)
今年は例年より寒かったから桜が咲くのは遅かったが、花はいずれ枯れる。銀時達との別れも桜の花のように、少しずつ近付いていってる。
そう思うと、寂しくなる。
「瑠璃?どうしたの?」
急に声を掛けられた瑠璃は、慌てて声がした方を見る。
其処には、不思議そうに瑠璃の顔を覗き込む朱里が居た。
(そうだった。あたし、朱里と一緒に買い物に行ってたんだ・・・)
瑠璃は片手に持つ、スーパーの買い物袋を見て思い出した。
先程までずっとボウッとしていたからスッカリ忘れていた。
「何でもないよ」
瑠璃は苦笑いをして言った。朱里はにっこりと微笑んだ。
其の刹那、背後から聞き覚えのある声がした。
後ろに振り向くと、其処には茶色い髪をサラサラと風に揺らしている、
アリスが居た。
「アリスッ!如何して此処に?」
「暇だからちょっと散歩中なんだ♪」
「散歩中」と言いながら、肩で息をしているアリスの様子からして、恐らく仕事中に抜け出して来たのだろう。アリスの表情から先程までかなり焦っていた様だ。
「あのぉ、瑠璃、ちょっと良いかな?」
「?うん」
朱里が手招きをしながら瑠璃を呼んだ。朱里の表情は少し驚いている様だった。
「・・瑠璃、あの子と知り合いなの?」
「うん」
瑠璃の返事を聞いた瞬間、朱里はアリスに視線を移した。
アリスも朱里の姿を見た瞬間、茶色の瞳を大きく見開き、
「アリスゥゥゥゥゥゥ!!?」
「朱里ィィィィィィィ!!?」
可愛い二人の声が辺りに響き渡った。