二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 〔銀魂〕___雫ヲ流ス ( No.182 )
日時: 2011/12/06 20:34
名前: 瑠々 (ID: 7TIhQdvp)

【朱里誕生日特別編】

——夏と蝉と、

ミーンミーン…と蝉の鳴き声が澄み渡った青い空に響き渡る。
猛暑のかぶき町を大きな白い巨大犬を連れてあるく朱里は、暑さと苛立ちで頭の中がぐちゃぐちゃになっていた。

三十分ほど前、安売りで買ってきた箱アイスのラスト一本を神楽に食べられそうになりながらも、なんとか食べきった朱里に瑠璃が突然、

『定春の散歩行って来て』

と言われ、定春の散歩は神楽の仕事だろうと反抗したが万事屋から叩きだされてしまい、今にいたる。

「あ゛づい゛ィィィ」

気温三十五度を越す猛暑。それでも子供には関係なし。
皆川で元気一杯に遊んでいる。
駄菓子屋に行ってアイスでも買おうかと考えているとき、後ろから聞き覚えのある声が聞こえた。

「アリス!」

「やっほー、朱里♪」

こんな猛暑でも、いつもと変わらない笑顔で手を振るアリスだが、
長い茶色の髪をポニーテールに結っている。
二人でアイスを買って、食べながら歩いていると数メートル先に万事屋が見えた。

「そうだアリス。うちに寄って行かない?」

「うん。それに万事屋に用があるしね♪」

アリスの言う「用」がピンと来なかったが、あまり深く考えず、万事屋の扉を開けた。その瞬間——、

『ハッピーバースディ!朱里!!』

パパンとクラッカーの音が鳴り響くと、玄関に銀時、新八、神楽、瑠璃、桂、エリザベスがいた。
呆然としている朱里を見て、瑠璃がカレンダーを持ってきて、今日の日付を指差した。

「えっと、8月29日…。あ…っ」

8月29日。
この日は朱里の誕生日だった。

(すっかり忘れてた…)

驚いた表情の朱里の手を神楽が引っ張り、無理やりリビングに入らされた。

(あ…)

テーブルの上にはショートケーキを中心に、寿司など、大赤字の万事屋ではあまり並ばない食べ物がならんでいた。

「お祝いですからね。奮発しちゃいました」

「早くケーキ食べたいアル!」

笑顔を向けて言う新八と神楽の頭を、無意識に撫でると、にこりと微笑んで、


「ありがとう!」


夏と蝉と、
(とびっきりの笑顔)