二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 〔銀魂〕___雫ヲ流ス【朱里誕うp!】 ( No.188 )
日時: 2012/03/27 19:32
名前: 瑠々 (ID: Q8MrRCmf)

第二十四話 私は守り方を知らないのです

少女の突然の質問に、瑠璃の心臓が大きく鳴った。
普通なら認めるところだが、現在瑠璃がいる場所は戦場から余り離れていない場所にある古い民家。しかも目の前にいる少女は、格好をみる限り攘夷志士だ。
瑠璃が天人と確信すれば、仲間を呼ぶかもしれない。
人間を殺したくない瑠璃には、明らかに不利になる。
 気取られまいと、瑠璃は笑顔をつくった。

「なに言ってるの。あたしは戦に参加してるのに」

瑠璃の返事に少女は、一瞬瑠璃の顔を見るとそっぽを向いた。
少し安心して、少女に背を向けた。その刹那、

「くだらない嘘吐いてんじゃないよ」

瑠璃の首に、ヒヤリとした冷たい物が触れた。
瑠璃は小さく溜め息を吐いた。

「……なに?」

「黙れ。お前が黒兎だということは分かってる。あの傘とこの白い肌がなによりの証拠」

少女が刀を握る力を強めた。
このまま首を飛ばす気なのだろう。絶体絶命の状況にありながら、冷静に考える自分に苦笑した。
背後にいる少女が口を開いた。

「天人であるお前が何故人間側につく?」

少女の問いを聞いた瞬間、脳裏に銀時と桂と高杉、そして松陽の顔が過ぎった。瑠璃が人間側についた理由…というか、戦に参加した理由。
それは天人さえ襲来して来なければ、今も生きていた筈の松陽の為。そして、『白夜叉』という容姿が銀時にそっくりな志士がいると聞いたからであった。
しかし、この事を目の前にいる少女に教える気にはなれない。

「貴方に教えることじゃない」

誤解を解きたかったが、過去に触れて欲しくなかった。
瑠璃の返事に少女はまた、刀を握る力を強め、

「ならば…」
「それでも、今此処で死ねない」

少女が刀を振ろうとした瞬間、瑠璃はしゃがみ込み、足で少女の右腕を蹴り上げた。スルリと少女の手から刀が滑り落ちた。
畳みに刀が落ちると同時に、更に刀を蹴る。足は見事柄にあたり、部屋の隅に飛んでいった。

「お前…っ!」

「あたしは、人間を何度も殺した」

瑠璃の台詞に、少女が目を見開く。
しかし瑠璃は続けた。

「でも人間はあたしを育ててくれた。本当の剣を教えてくれた。優しくしてくれた。だから、人間を守る為に…」

其処から先は言えなかった。
これ以上言えば、涙が溢れそうだったから。
松陽を思い出すのと、こんな方法でしか人間を守れない自分に対しての恨みに。