二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 〔銀魂〕___雫ヲ流ス ( No.55 )
日時: 2010/12/28 14:54
名前: 瑠々 (ID: 5YaOdPeQ)



第七話 少女の行く末を決める、


あれから一刻は経ったのではないだろうか。
男の人は小高い山の中を登って行く。少女はただ、着いて来ていた。
すると、男の人は足をピタリと止め、少女の方を見た。

「ずっと聞こうと思っていたのですが、あなた名前は?」

「・・ない」

男の人は、少し困った顔をすると、再び口を開いた。

「誕生日は?」

「・・知らない」

少女の答えにかなり困った顔をしたが、何を思いついたのか元の表情に
戻った。

「それでは名は、水無月瑠璃でどうですか?そして誕生日は、私達が出逢った、六月三日」

「・・え?」

少女は目を見開いた。今まで名も無く、"鬼゛と恐れられた自分に
名前が出来たのだから。

「・・・・瑠璃・・・・」

「そうですよ、瑠璃。私の名は、吉田松陽と言います」

松陽と言う男の人は、くるりと背を向け、再び歩き出した。
少女———否、瑠璃は松陽の隣に並んだ。

「瑠璃、今から行く場所には、あなたと歳の近い子供達が勉学を学んでいます。すぐに馴染め、とは言いません。少しずつ慣れていきましょうね」

「・・はい」

瑠璃は小さくコクリと頷いた。それを見た松陽は、優しく笑った。

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「・・・瑠璃、起きるッス」

瑠璃はゆっくりと瞼を開けた。瑠璃の目の前には、また子の顔。

「また子さん、お早う御座います。すみません、起こして貰って・・・」

「気にする事無いッスよ。今までの疲れが出たんスよ。きっと・・・」

また子はそう言うと、水色の着物を瑠璃に渡した。

「あの着物、もうボロボロだったから、此れからは其れを着ると良いッス。着替え終わったら、外に来るッスよ」

「はい」

また子はそう言うと、部屋を出た。

また子が部屋を出て、瑠璃は一つ溜息をすると着物に着替え、腰に刀を差して、傘を持って部屋を出た。
艦内の廊下を歩いきながら、瑠璃は色々考えていた。
勿論夢の事。

今まで余り夢を見なかった自分が、今日突然夢を見た。しかも
松陽の夢を。

(夢の中でも松陽先生に会えて嬉しいのに、何でこんなに落ち着かないの・・・)

すると、段々視界が明るくなって来た。外に近づいてきたのだ。
瑠璃は傘を開くと、外に出た。

瑠璃の前には、六人の人影が見えた。