二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: [[遊戯王]] 決闘者の道を歩む者 ( No.39 )
- 日時: 2010/12/17 21:36
- 名前: 青金石@翼神竜 ◆Mw9em79sDc (ID: ZMeIuJbG)
第二話『ゲーム屋と謎の男』
放課後の鐘が校内に響き渡った。この鐘は早く帰れと告げているのだろう。
現時刻、夕方の5時頃だ。それほど暗くは無い季節なのでまだ明るい。寄り道して帰る生徒も多数居た。
世南は昇降口を出て、歩き始めると後ろから騒々しい足音が聞こえた。
「世南! 俺たちと帰ろうぜ!!」
「そうよ、あたし達・・・もう友達じゃない!」
世南の背中を軽く叩いて、急に現れる城之内と杏子。後から遊戯と本田。
彼らはもう世南は友達だと言っている。まだ転校して間もないのに友達が出来たと世南は感激していた。
「ありがとうございます・・・、そうですよね。友達、ですよね」
世南は皆に微笑を浮かべた。勿論、杏子達もその微笑に釣られて笑顔だった。
「そうだ、皆。僕の家に来ない? じーちゃんが新しいカードパック入手したって!」
遊戯が突然家に招く。彼の家はゲーム屋で、祖父が店主をして経営しているようだ。
城之内達は勿論と即答し、世南を連れて遊戯の家に向かった。
「じーちゃんただいま〜」
店のドアを開けると、カードなどゲーム機がずらりと綺麗に整えて置いてあった。
世南以外は慣れているが、彼女は初めてなので控えめでいた。
「おぉ遊戯! それに城之内に本田君に杏子ちゃん・・・お? その子は?」
遊戯の祖父、武藤 双六(むとう すごろく)は珍しそうな目で世南を見つめた。
ハッと視線に気付くと、会釈をしてから名前を告げた。
「は、初めまして。遊戯様のと、友達で・・・樹野原世南と言います。」
(さ・・・様!? じゃと・・・!)
「さ、様!?」
世南は突っ込むべき所かなと思いつつ疑問符を浮かべていた。
「様じゃあ・・・いけなかったですか?」
「い、いやいけなくねーけどよ・・・様なんて珍しいなってな」
「そうですか? 珍しいですかねぇ・・・」
「(家の事情もあるのかも・・・)でも、世南ちゃんが呼びやすいならそれで僕は良いよ。」
では、と遠慮なく世南は『様』を使って名前を呼ぶことになった。
「ふむふむ、しかし遊戯にもこんな可愛い友達が出来たか・・・」
「そんな・・・私なんかより、杏子様がいるじゃないですか。」
ちらっと杏子の方を見る世南。杏子は気付くと、顔を赤面にしていた。
クスッと小さく笑う世南には何ともいえなかった。
「それよりじーちゃん、新しいカードパック見せてよ」
「おーそうじゃったな! そうそう・・・・・・これじゃ!」
双六がカウンターの上に置いたのは、デュエルモンスターズというカードゲームのカードパック。
デュエルモンスターと言うのは、簡単に言えばカードゲーム。
お互いライフポイントをモンスターの攻撃や効果などで削っていき、0になれば負け。
魔法カードや罠カードで攻撃や効果を防ぐことも出来る。
「何かいつもと違くねーか?」
「そうじゃ! 良く分かったな!」
本田がカードパックの異変に気付く。普通のものと比較するが大して変わらない。
「これはのぅ・・・「このH.jって、私の父の会社の名前ですね」
「え?」
いっせいに世南を見る。淡々と話を続けた。
「私の父、今は居ないですが大企業の社長だったんです。カードなどを生産したりするんですよ。今は兄が受け継いでいますが・・・。
因みにH.Jとは父のイニシャルです」
「何か・・・誰かに似てねーか?」
城之内は頭の中を回転させ、記憶を探る。すると、何かに閃く。
「そうだ、あの—」
バァンッと大きな音と同時に、店のドアが勢い良く開かれた。
全員反応し、ドアの前の人影に注目が走る。
「おい、じーさん! そのカードパック何処で手に入れたのだ!? 俺の会社と対立を結ぶあのH.Jの・・・」
ずかずかと入り込み、カウンターをバンッと叩く男。
白いコートのようなものを纏い、茶色い髪と背丈のある身長。
「か、海馬くん・・・?」
遊戯はその男の名前らしき言葉を紡ぐ。男は振り向く。
「悪いが、俺は貴様らに構ってる暇は無い。俺はこの・・・ってんん!?」
男は一通り、遊戯達を確認してから世南を凝視した。
ビクビクと肩を震わせながら世南も男を見る。
「き・・・・・・貴様・・・あの男に似ている・・・・・・まさか!?」