二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: ドラゴンクエスト—Original— 漆黒の姫騎士 ( No.19 )
- 日時: 2011/03/12 21:07
- 名前: Chess ◆1OlDeM14xY (ID: fckezDFm)
アインテルス、その美しくも賑やかな町は、そういった。
町中に紅白の旗がなびく。白い煙が、ぽんぽんと言う音と共に空に上がった。
どこからか歓声が上がり、またどこからか笑い声が聞こえる。
「すごい賑やかだね」
マイレナが呟く。町の掲示板に目を留めたリーシアは、そのままそちらへ向かった。
「・・・なんかこれ、言葉おかしくない?」
リーシアが見たものは。
【 法太月_ワレシャム_、星長日_ロクエイトス_。
建町記念日 四大祭りの最派手祭り! 】
「・・・・・・・・確かに。建町とか最派手とか何だこれ」
「これも」
【 武器防具オーディションのお知らせ 】
「・・・・・・・・“オークション”の間違いでは?」
「でもこっちは武器防具激安合戦。やってること矛盾してるな・・・っていっても、武器って・・・
わたしらみたいな旅人がそんな大勢来るものなのか?」
リーシアが肩をすくめた、その刹那。
〈 ————— 〉
何かの鋭い気配を、背に感じる。どうやらマイレナも同じだったらしい。
注意深く辺りを見渡すと、あれだけ人々がいたはすなのに今は皆姿を消していた。
「・・・どうやら」
リーシアが、右手の黒い皮手袋の、手首のベルトを緩めた。
「この町は、掲示板のとおり、旅人大歓迎・・・って感じだな」
マイレナも、腰の剣の鞘に右手を寄せた。
「だねぇ。ほら、集まってきた。・・・来るよ」
感じる、邪まな気配。遠くの歓声や笑い声は締め出す。取り入れるのは、すぐ近くの風の音——
「っせいやぁっ!」
振り向きざま、マイレナの正拳突きが、忍び寄ってきた男の腹に炸裂する!
ぐうの音も出せないまま、男はばたんと仰向けにひっくり返った。
「不埒者か」
「いや・・・違うと思うぞ」
リーシアがいよいよ右手袋を引っ張って脱いだ。ぐっ、と拳を握ると、かしゃん! と小気味いい音がする。
爪だ。白をベースに、青と黄の蔓草模様を描いた、戦闘用のかぎ爪だ。
リーシアは手袋をぱさっ、と地面に落とすと、すばやく呟いた。
「まだ狙われている」