二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re:   ドラゴンクエスト—Original—  漆黒の姫騎士  ( No.30 )
日時: 2011/01/13 17:54
名前: Chess ◆1OlDeM14xY (ID: zr5xYoWQ)

 マイレナ、リーシアの二人は、レイサの後ろにつき、町を見回る。
「結構綺麗な町だよね」
「・・・・・・」
「こんだけ活発だと、飽きないんじゃない?」
「・・・・・・・・・」
「・・・それとも、逆に飽きる?」
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
 レイサの無言の回答に、マイレナの質問も封殺される。

 そこに座っていたのは、先ほどの一戦でマイレナが最初に相対した武器商人のおじさんだった。
「あ、ハンマーのおっさん、背中大丈夫? まじで蹴りつけて悪かったね」
 のんきな物言いに、だが商人はすっかり引き腰である。マイレナは無視した。
「ほんとだ、結構——」
 いい武器そろっているね。そう言おうとしたマイレナは、そこで言葉を切った。
そして、顔をしかめかけて、リーシアに軽くつま先を蹴られる。
「・・・?」
 マイレナの訝しげな視線を受け、リーシアは少しだけ頷いた。
 そして、レイサに向き直る。
「レイサ、助かった。いろいろ装備を変えようと思う。時間がかかるだろうから、先に戻って構わない」
(出た〜・・・リーシャの)
 リーシアの、一見感謝のように聞こえる命令である。
今までの旅でこれを受けた人々はたいてい、自分が命令され操られたことに気付かず事を終えている。
 だが、レイサの表情を見ると、今までのそれが効いていないのが分かる。
追っ払われているな、とでも言いたげな顔だ。
だが、レイサはあえて何も言わず、そのまま立ち去る。マイレナはやれやれ、と息をついた。

「ちょっと待っててくれないかな。後でもう一回来る」
 サラリと言ってのけ、後は問答無用というようにリーシアは武器屋を後にする。
マイレナに顎をしゃくり、近くの木陰で息をつく。
「・・・やっぱリーシャも気付いた?」
「当然」リーシアは髪を払う。「・・・で、どうする? 止めておいて、普段どおりでいく?」
「うーん・・・それじゃかえって警戒されないかなぁ・・・いまだにここの人ら、
何とかって魔法使いの手下っぽいし」
「じゃ素直に騙されるか?」
「・・・・両方にしない?」
「そうなるわな。やっぱり」
 リーシアはもう一度息をついた。
「金がもったいないけど・・・ま、いっか。すぐ稼げばいいし」
 何とも金のありがたみがなくなる言葉を言い、マイレナが笑顔のまま固まった後、
気を取り直して[計画]を確認しなおす。
「・・・んじゃ、ひとまず騙されてみて、様子を伺う。・・・こんでいい?」
「了承」一言言って、リーシアは今度は不敵に笑った。
 そして、なんとなく、呟いた。




「わたしらがあの武器全部が偽物だと分かってるなんて、思いもよらないだろうしね」