二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re:   ドラゴンクエスト—Original—  漆黒の姫騎士  ( No.63 )
日時: 2011/01/31 19:08
名前: Chess ◆JftNf0xVME (ID: PdKBVByY)

「うっし! こんなトコかね?」
 マイレナが額に浮かんだ汗をぬぐい、横の三人に話しかけた。ちなみに、薬草はとっくにマイママに渡してある。
「そだね。あー疲れたぁ」
「・・・何もやってなかった奴がエラそうに」
「何か言った? フェイクス」
「さぁね」
 ティスとフェイクスが話している間に、マイレナは次なる用事をみつける。
「・・・と。ナヴィ! 明日の儀式の 飾環_サークレット_ が届いたよー」
 マイレナがナヴィを呼ぶ。もちろん向かうのはマイレナの方だ。
 マイレナとナヴィが明日のことについて最終打ち合わせをし始めたのを見たフェイクスは、
残った荷物をさっさと運び出す。
「ティス、その箱こっちに持ってきてくれ。——あ、違う。そこの二つ右・・・じゃない、お前から見て二つ左、それ」
「重っ!! 人使い荒すぎっ」
「村だからまだいい方だ」
「どーいう意味? あ、そっかフェイクス二年前まで国に行ってたから」
 フェイクスは幼いころに親に連れられ何故か村を出たことがある。
村人の反対を押し切り、村以外の地へ旅立った者たち。この村ではここ数十年、そのような例はなかった。
しかし、フェイクスだけは二年前・・・彼が十七歳の時に、一人で戻ってきたのだった。
「・・・国ってそんな人使い荒いの?」
「——あぁ」寂しげに、フェイクスは答える。「想像もつかないことを、平気で命令してくる。
——あれは、人間じゃない」
「?」
 ティスは、そんな彼を首をかしげて眺めた。


 荷物置き場に箱を降ろした後、そのままティスは家に帰った。フェイクスは外に居続ける。
丘のようになっているそこに腰を下ろし、夕焼け空を眺める。風が少し肌寒かった。
「あれ、フェイクス? まだ残ってたんだ」
 そしてそのしばらく後にマイレナが来る。
「あぁ、マイレナか。——ナヴィは?」
「帰ったよ。今日は早く寝るってさ」
「マイレナもじゃないのか? ナヴィの 支持役_サポーター_ なんだから」
「ん、ま、私はいつ寝ても起きるの遅いから」
 自覚しているらしい。
 ダメじゃんかそれ、と言いながら同時に笑う。マイレナが横に腰を下ろした。・・・微妙に近い。
だが、そんなことは気にせず、マイレナは急に表情を元に戻した。まじまじ、と近くからフェイクスを見る。
「・・・フェイクス。あんたさぁ。——なんか、悩んでない?」
「いっ!?」
 何で分かるんだコイツは、と頭の中で早口に思ったフェイクスは、ぼそりと「・・・ご名答」と答える。
「やっぱな。あんたすぐため込むんだもん——で、ほら。言ってみなさい」
 母親のような口調で、マイレナは言った。フェイクスは苦笑し、仕方ないか、と話し出した。

 それは、誰にも話したことのない、二年前の記憶。







              Chess) 長いので一度中断。 ←多いなコレ・・・