二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re:   ドラゴンクエスト—Original—  漆黒の姫騎士  ( No.75 )
日時: 2011/03/11 17:21
名前: Chess ◆JftNf0xVME (ID: PdKBVByY)

「さて、改めて自己紹介だ」
 ティルスは首元のターバンをほどき、異国風の挨拶のような会釈をしてから、言った。
「オレの名はティルス、ティルス・サークだ。そこらじゃ“疾風のティルス”で名の通っている盗賊だ」
 私は今ここでこの男を捕まえるか否か? と本気で悩むマイレナ。
「ああ・・・あたし、聞いたことあるわ・・・あんたが、[あの]ねぇ・・・」
「・・・名の通っている、って盗賊がそんなんでいいの?」
「顔までは知られてないからな」
 そりゃそーだ、とマイレナ。
「私はマイレナ、こっちは」
「リーシアだ。・・・コイツの呼び名は間違っているから」
 リーシャ、と言われる前にリーシアは早々に自己紹介した。
「・・・あたしはレイサ。アインテルスの、『職』は踊り子よ」
 聞きなれぬ『職』の言葉に、マイレナとリーシアはそろってレイサを見る。
「・・・ん? 何?」
「・・・・・・・・・いや、・・・何? その、ショク、って。・・・食べ物の事じゃないよね?」
「それは『食』だー! 食べてどうすんのよ! 職業よ、職業。・・・え、知らないの?」
 またもそろって頷く二人に、レイサが説明を開始する。
「今から行くことになるダーマ神殿で授かるのよ。旅人に必要な、旅の能力を目覚めさせる修業を積む。
そのために、『職』の加護を受けて、修業すれば、その人はどんどん強くなっていくのよ」
「へぇ・・・なかなかいいね。で? 近いの? ここから」
「近くはないが・・・」今度はティルスだ。
「ここを出て西へ行き、その先の十字路を北、その後双子山の左側を川沿いに歩いて行った先にある小屋を
さらに越えて小さな滝の流れる崖をまた西に歩いた先にある。半日あれば行ける」
 ここにもいたか人間レコーダー。

 ・・・というマイレナの半眼はともかく、リーシアはその『職』について尋ねる。
「種類は、戦士、僧侶、魔法使い、えっと・・・武闘家、踊り子に旅芸人、盗賊、商人、船乗り、
うー・・・・んと、・・・他に何か目立たないやつが・・・魔物使い? と・・・ぉ・・・占い師と・・・
吟遊詩人と・・・遊び人!」
「・・・・・・・・あの、最後、なんて?」
「遊び人!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・それ、『職』じゃなくないか?」
「いや、残念ながら『職』ですな」レイサは気取り口調で言う。
「あのね、魔法を使う『職』って、一般民から、・・・気味悪がられたり、するわけよ。
でも、その魔法を、いかにも手品っぽくして、一般民と一緒に驚いて見せたり・・・“遊ぶ”ひとが、遊び人」
「へぇ。ちゃんと、意味があるんだ」
「うん。・・・上級職のこともあるけど・・・言おうか?」
「いや、それは後にしよう」リーシアが突然言った。「そろそろ夕飯の時間だし」
 ・・・その後大真面目にそう言ったリーシアと三人の間に、乾いた空気が流れた。





 余談:リーシアは特別ボケたわけでもなんでもなく、夕飯時間までに戻らないと飯の量が減ると
  宿屋の女将に言われていたからあのように言ったらしい。byマイレナ