二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re:   ドラゴンクエスト—Original—  漆黒の姫騎士  ( No.79 )
日時: 2011/03/19 20:40
名前: Chess ◆JftNf0xVME (ID: fckezDFm)

 そんなわけでとんでもない起こされ方で目覚めたマイレナは、ずっと続けていた(?)不機嫌顔を終わらせ、
ダーマ神殿を目指しポスタミアを三人と共に出る。
「そういや、アンタらはどこへ行くつもりだったんだ?」
 ティルスが、そう言う。どうやら船は、グラ[タ]ンヘルゼ以外のところにも行くらしいな、と察知したマイレナは、
ごく普通に、間違いにも気づかずに「グラタンヘルゼ」と答えた。
「・・・はい? ・・・おい、今、なんて——」
「だから、グラタン」
「グラ[デ]ンヘルゼだっつぅに!!」
 レイサが突っ込むが、マイレナ聞き耳持たず。
「・・・マジかよ。・・・本気か?」
「てか、そこ以外何処に行けるのか、知らないし。目的もちゃんとあるし」
「胆据わってんなぁ・・・」ティルスが呆れているとも感心しているともとれる口調で言う。
「あの国はいかれちまってるぜ。好き放題の王妃が納めてるよーなもんだから」
「・・・王妃?」リーシアだ。「じゃあ、王や、・・・王子が、変になったってわけじゃないのか?」
 つとめて平静を装いながら、躊躇いがちに、尋ねる。どうかそうであってほしい。そう思った。が。
「王は知らないが、王子は完全に王妃に従ってるってよ。・・・ま、噂であって、確かめたわけじゃねぇから、
オレは信用してないけどな」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
 リーシアは黙った。噂と言えど、そう言われている。もしかしたら、王子は、かつての自分の許婚は、
人々を苦しめているということになる。そんな奴が近くにいるなんて、絶対に嫌だ。
「なぁ・・・何だってんだ、その王子はっ。男なら、しっかり反論しろっての!!」
「男前だな」
「女だ!」
「確か」その様子を無視して、レイサ。「あの国の王子様の名前は、シェル王子・・・
ひ弱そうな人だったけど、あの人が人苦しめることなんて、できるのかしら」



 旅はなかなか普通に進んでいた。高くそびえたつ木々の間を抜け、茂みから襲ってきた魔物に
耳の良いティルスとマイレナが気付けば、攻撃はそのティルスと、なぜかリーシアが務めた。
マイレナよりリーシアの方が素早いということを、マイレナ自身理解しているからだった。
「あたし、辛いよぅ」
 と、辛そうな顔をからきししていないレイサが笑う。「二人とも、速すぎ。あたしの出る幕ないじゃない〜っ」
「まぁまぁ」マイレナがレイサの肩をポン、と叩き、「のんびり行きましょ」と、歳クサイことを言う。

「見えた。ダーマ神殿だ」
 昼を過ぎたころ、ティルスが言い、マイレナの言葉通りほとんど“のんびり”していた二人が顔を上げる。
レイサが、「見えんの・・・?」と呟き、マイレナが「おおおっ!」と叫ぶ。リーシアは辛うじて見える程度だ。
「でかいなー!」
 マイレナのかなり素直な感想である。芸がないわね、とレイサが言い、すかさず殴られた。