二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re:   ドラゴンクエスト—Original—  漆黒の姫騎士  ( No.94 )
日時: 2011/03/23 22:05
名前: Chess ◆JftNf0xVME (ID: fckezDFm)

「・・・・・だからね」
 マイレナが目をこする。
「あえて言うならクリーム色を成した霧が周りを囲んでいて・・・」
 続いて、マイレナは頭をぐしゃぐしゃかきむしる。
「声が聞こえたんだよ。誰かと話しているみたいなさ・・・」
 極めつけに、大あくび。
「で、気が付いたら——」
 ・・・そこで、大あくびのマイレナを目の前に、リーシアはずっと続けていた説明を中断した。
「・・・・・・・・・・・・・・この、うすっ暗いトコにいたってワケだよこのオタンカスッ!!」
「うぎゅあっっ」
 喉を思い切り開いているときにリーシアの遠慮容赦ない蹴りが炸裂したものだから、
マイレナは勢い余って(?)大げさにむせた。
「がふがふがふぅぅっ。ななな何すんねんリーシャっ!」
「お前は人の話をきくっつーことを知らないのかッ」
「だからって蹴ることなかれっ。暴力女ッ」
「寝返りする度何かを蹴り倒しているアンタに言われたかないなッ!」
 だんだん本気に発展してきた女二人の恐ろしい口喧嘩を、止めるか無視するかの狭間で迷うティルス。
「レイサ、・・・オレはどうすればいいんだ?」
「いやぁ・・・黙って見てましょ」



 所は変わり、薄暗い草原の中。
レイサは、セルハとかいう(レイサ曰く身勝手な)女性と話した後、意識が途切れて・・・気が付いたら、
この草原の中で、同じように倒れているティルスとマイレナを見つけた。
一番初めに気が付いたのは、リーシアだったらしい。
そして、さっきの話からすると、リーシアはレイサとセルハの話がうすぼんやりながらも聞こえていたらしい。

(にしても・・・さっきが光のところ、っていうなら・・・ここは闇・・・もしかして、ここが地獄、とかいうところなのかしら)

 なんだか、ずいぶんと見当違いな場所だ。地底深く、死の影がたくさん、
ガイコツごろごろマグマぐつぐつなイメージを持っていただけあって、ただ薄暗いだけの何の変哲もない
この草原は、かえって拍子抜けさせられる。
(・・・リーシアが・・・お姫様、か)
 マレイヴァの、生き残りの騎士。右手の負傷、そこに、首飾りの成り代わり? とやらがある。
けれど、本人はそれを知らない。
自分が、世界樹人の子孫だって言われていながらそれが真実だとは、信じてはいない。
(・・・リーシアの記憶、か・・・)
 なんだかよくわからないけど、とレイサは考える。とりあえず、あたしがリーシアの正体知ってることは、
言わない方がいいんだろうな、と。
「・・・っとりあえず、戻ろっか・・・」
 マイレナが妙に憤慨しつつもそう言い、そして、

「————って、ここ何処だっ!?」
「今更!?」

 マイレナ除く三人の声が見事にハモる。
「・・・えぇ、っと・・・? あぁそうだ、何かあいつが呪文唱えて、バンって音がして・・・あ」
 マイレナが何かに気付き、リーシアを見る。・・・切り替えが早い。
「 強制移動呪文_バシルーラ_ ・・・まさかあれが、・・・みんなを・・・!?」
 フィルタスの村のことだ。リーシアは、そう思った。目を細め、ぼそりと、「・・・そう」と答える。
「それじゃあ・・・誰かがここにいるかも! ・・・ここって、私らの世界と違うんでしょ?
・・・あれ? じゃあ、どこなんだろ・・・?」
「多分」レイサが答える。「地獄よ」
「地」マイレナが復唱しようとして・・・固まる。「・・・・・・はい?」
「とにかく」
 レイサは苦笑し、歩こう、と促した。
「説明するわ。さっき、あたしが聞いたことをね」