二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: イナイレ 【薔薇の倉庫】 ( No.677 )
日時: 2011/04/20 17:32
名前: 薔薇結晶 (ID: rLJ4eDXw)
参照: http://blogs.yahoo.co.jp/gran_fenrir/3077494.html

『眼〜eyes〜』

——O——




「飛鳥君」

此処は3層目、つまり≪黒≫の魔族が住む層だ。
其処で1人の少女が1人の少年を呼んだ。

「お、秋。どうしたんだ?」
「コレ、相手してよ」

細身の深緑の剣を片手にそう言う秋。
それを見て目を見開く飛鳥(土門)だったが、やがて笑う。

「おう、いいぜ」
「ありがとう。最近あんまり剣振るって無いから…」
「だな。俺もだ」







適当にその辺りの広場でお互い構える。
2人共剣を使う、いわゆる剣士だ。

「PPスキル使ってもいい?」
「おぅ、俺も使うからな」
「いいよ、お互い全力でね…!」
「当然だろ!」

ダンッ、と2人が地面を蹴った。
秋の細身剣が濃い緑色に煌めく。一方の飛鳥の片手直剣も碧く閃く。
エフェクトがその場を満たす。

「はぁっ!!」

秋が一発、真っ直ぐに突きを繰り出す。
突き技、≪三日月≫だ。
だが飛鳥はそれを難なく捌く。



秋が使う深緑の細身剣の名は『オーヴファロン』。
これはかなりレアなMDで、3層目の【シャウスフェン】と言う剣を使うランクSSのモンスターを倒さなければならない。
それを秋は、たった1人で倒して見せた。

対する飛鳥が使うのは、片手直剣の『フェザー・ドゥードゥル』。
こちらは調合を30回以上繰り返さないと出ない、調合品の中のレア品。
だが『フェザー・ドゥードゥル』の1つ手前の調合品は成功率がほぼ無いに近いのだ。
この剣を持っているのは≪ヴィレネイズ≫で彼のみだろう。


「秋!俺は手加減しないぜっ!!」

そして、飛鳥は己のPPスキルを発動させた。
武器系のPPスキル、“変形(シャープチェンジ)”である。
その名の通り、武器の形を変形させるPPスキル。
だがこのPPスキルは使いどころを誤れば、逆に自分が危険な状態になる。
ある意味、これは賭けに近かった。

「私も飛鳥君だからって、容赦はしないよっ!」

秋は、“変形”を利用して武器の形が変わった『フェザー・ドゥードゥル』の攻撃を悉く弾いていく。
まだ彼女はPPスキルを発動せずに飛鳥と戦っている。

「(よし…)覚悟っ!!」

繰り出すは≪十六夜≫。計28回の突き技だ。
だが、彼女の≪十六夜≫は普通の剣士が繰り出すものとは全く違う。
この時、秋はPPスキルを秘かに発動していたのだ。
一瞬で飛鳥の『フェザー・ドゥードゥル』を潜り抜ける。

「げっ…!!(PPスキル発動してんのか…!!)」

「はぁ————っっ!!」

秋の甲高いソプラノの声が響く。
そして、≪十六夜≫が繰り出された、が。
その数は28回より遥かに多く、遥かに速いものだった。

秋のPPスキルの名は“俊敏”と書いて、“スピーディア”と読む。
それは、全てにおいての速度を究極的にあげる身体系のPPスキル。

PPスキルを発動した彼女の放つ≪十六夜≫は、普通の≪十六夜≫の3倍に設定してある。
つまり、84回の突き、という事になるのだ。
どん、と、飛鳥の体が吹っ飛んだ。

「いって〜…さ、さすがだな。秋」
「ご、ごめん…吹っ飛ばしちゃって…」
「いいさ。…秋、時間が…」
「あ」

ダッ、と2人が一気に走り出す。
理由は

「まずいよね!?今日会談の日だった…!」
「あぁ、超やべぇよ!!!」

「≪ショートカット・悪魔の巣≫!!」

10mほど先に移動魔法陣を展開して、2人は一気に飛び込んだ。