二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: イナイレ 【薔薇の倉庫】 ( No.685 )
日時: 2011/04/23 17:38
名前: 薔薇結晶 (ID: eOjA2Rpu)
参照: http://blogs.yahoo.co.jp/gran_fenrir/MYBLOG/yblog.html

『眼〜eyes〜』

——P——




「火檻」

カノンは火檻の名を呼ぶが、返事が無い。

此処は7層目。
現在、2人は≪ヴィレネイズ≫でも難関ダンジョン≪迷宮森林≫の中で、依頼(リクエスト)を達成するために『魔物狩り』をしていた。
依頼とは、≪特殊≫の魔族が他の魔族から受ける頼みごと。
とあるゲームでいう『クエスト』だ。

依頼は≪特殊≫が絶対に熟さなければならない仕事なのだ。


「火檻、って、また聞いてる…」

また、ヘッドフォンで曲を聞いていた。
カノンは火檻の肩をぽん、と叩く。
すると火檻が気付いたようで、ハッとしてヘッドフォンを外す。

「ごめん、何?」
「前方170mに【グリーン・サテュロス】の群れの反応有、戦闘態勢に入って」
「分かった」

普段、蒼い眼をしているカノンだが、今は赤の眼をしている。
彼女は戦闘になると眼の色が変わる事が原因で≪特殊≫の種族になっている。

火檻は、金眼と銀眼のオッドアイ。
彼女が生まれるのが数年早かったら、もしかすると≪金眼≫だった可能性も否定できない。
だが、彼女は右眼、つまり金の方の眼はすでに失明してしまっている為、≪特殊≫の種族になった。

この2人は≪特殊≫の中でもトップの戦闘力を誇っている為、≪ヴィレネイズ≫の魔族からの信頼はかなり厚い。


≪特殊≫の魔族は、眼の色が区々な為、決まった能力はない。
しかも、住む層が無い。
だからこうして人々の力になる事しか生きる術がないのだ。
だが。
≪特殊≫の魔族に、絶対に有る物が1つだけあった。

それは、PPスキルだった。


「火檻、バックアップ頼んだ!」
「分かった。」

【グリーン・サテュロス】達が2人に気づいたようで、こちらに向かって走ってくる。
カノンが火檻に一言残して、【グリーン・サテュロス】達に向かって行った。

「attack chaos…!!」

綺麗な発音で、何かを呟いた。
すると、カノンの背後に3色の鮮やかな魔法陣が出現した。
赤と青と、紫。

カノンの魔法系PPスキル、“混氷炎(ザ・カオス)”だ。

「≪カオス・スピアズ≫!!」

炎を纏った氷の槍、冷気を纏った溶岩の槍が群れを襲う。
カノンは攻撃の手を緩めず、次々に四方八方に魔法陣を展開する。

「火檻!」

カノンが叫ぶのと同時で火檻が大きく息を吸い込む。
すると彼女の足元に銀色の魔法陣が展開された。
そして、美しい歌声をその口元から発した。

火檻は、数少ない万能系PPスキルの使い手。
PPスキルの名は“魂の歌姫(ソウル・ディーヴァ)”。


歌声は羅列となり、旋回する。
そして、逃げようとする【グリーン・サテュロス】達の動きを完全に封じる。

「(止めだっ!!)≪ヴィーヴィス・ディーザー≫!!」





















「今回の依頼も成功。…依頼者何層目だったっけ、」
「10層目。…じゃなかった?」


そんな事を言いながら≪迷宮森林≫を抜ける2人。
其処は大きな花畑が広がっていた。

「すごい…な」
「流石は≪ヴィレネイズ≫の植物の支配者≪緑≫。綺麗な花が沢山」

すると、火檻の左の銀眼が、ある光景を捕えた。

「…ぇ…?」