二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: イナイレ 【薔薇の倉庫】 ( No.728 )
- 日時: 2011/05/11 17:21
- 名前: 薔薇結晶 (ID: xxFx3C/2)
- 参照: http://bluerosebreak.blog.fc2.com/
『眼〜eyes〜』
——X——
「えっ…【ドラゴン・アクア】…?」
「チッ、“魔物使い”が来たか…」
確かにフィディオの前には≪地獄龍≫しか居なかった。
だが魔法陣から5層目の大型モンスター【ドラゴン・アクア】が出てきたのだ。
ジュリアはその正体を一瞬で理解したが、フィディオはあまり理解していないようだった。
「サクラ!どういう事なんだ!!」
「マーク…!」
ジュリアとエドガーを翠の瞳で睨みつけるのは間違いなくマークだった。
だがジュリアも格下に睨まれて黙って居るような性格ではない。
「邪魔をするんじゃないわ。あと少しで決まっていたと言うのに」
「仲間をそんな簡単に殺すような≪蒼≫に言われる筋合いは無い」
「あら、私は訳も無く戦うような女じゃないわ」
「元を言えばその2人が交際したのが原因なんですからね」
驚いたようにサクラとフィディオを見るマークだったが、すぐにジュリアとエドガーに向き直った。
「殺す必要があるのか」
「掟を守らなかった罰よ。≪翠≫にとやかく言われる筋合いは無いわ」
その時にしゅぱんと魔法陣の音がした。
「ジュリアさん、『追放の刻印』を持ってきました」
「お疲れ様、蘭丸君。帰っていいわよ」
「…何か面白そうなんで見ていきます」
「……あっそ」
蘭丸だった。
どうやら彼らの対戦を見ていくらしい。
「俺も参加させてもらおう」
「構わないわ。死傷者が出てもいいと言うならね」
ジュリアの言葉の意味は、中央街で戦うのか、と言う事だった。
そして6人は魔法陣を展開。
「「「「「「≪ショートカット・花の楽園≫」」」」」」
しゅぱん、と乾いた音が6つ。
「…良く分かったわね、貴方」
「分かるに決まってるじゃないですか、PPスキル使ったら簡単ですよ」
蘭丸のPPスキルはそれなりに便利なもののようだ。
今此処では紹介せずに伏せておこう。
「…始めましょう」
「フィーラ、アクア、出てこい!」
マークがそう言った。
すると上空に2つの魔法陣が出現し、【エンジェル・ウォリアー】と【ドラゴン・アクア】が出てきた。
「ふっ、甘いわよ。レディン!」
ジュリアも【ブルー・フェニックス】を呼ぶ。
青い魔法陣と共に青く輝く不死鳥が舞い降りてきた。
そして主人の横まで来ると、右腕に止まる。
ジュリアはレディンに1つの命令を出した。
「引き裂いてやりなさい」
マークもそれを聞いて黙って居るわけにはいかない。
「フィーラ!不死鳥の相手をしてやれ!」
「アクアは俺を手伝ってくれ!」
「マーク、助かるよ」
「出来るだけ手伝う」
そしてフィディオは聖剣を構え、マークも魔法陣から1本の剣を取り出した。
聖剣とは真逆の、堕剣と呼ばれるシリーズの『キューディ・クレィ』。
「いくら集ったって、私の前では無力だという事を教えてあげるわ」
ジュリアが構えているのは『サニー・ブレイカー』だ。
そして、フィディオとマークが踏み込んだ。
相当なスピードで迫ってくるが、ジュリアは全く動じない。
フィディオの『ラヴァンイーザー』を軽々かわし、マークの『キューディ・クレィ』を受け止める。
そして一気に振り払って、地面を蹴った。
だが、其処に滝が降り注いだ。
「っ!」
慌ててジュリアは一歩下がる。
上を見ると、アクアがブレスを使用しているのが見えた。
その上でレディンとフィーラが戦闘を繰り広げているのも。
「やっぱり…甘いわねっ!!」
踏み込んで走り出す音と、滝を突っ切ってくる音。
そして“獄炎”を纏った『サニー・ブレイカー』を構えて突っ込んでくる、ジュリアの姿。
「≪断罪炎≫!!」
黒い炎が2人を襲う。
「≪純粋の濁流≫!!」
フィディオはどうにか炎を消そうと試みる。
だが、マークには敵わない事が何となくわかった。
そして右手でアクアに指示を出す。
「≪ウォーター・ブレス≫!!」
ドッッ、と、水が大地を揺らした。
ジュリアを飲み込んだ。と確信を得た。
水飛沫がその場を包んだ。
「≪冷気のプレリュード≫…!」
静かで、凛とした声が響いた。そしてヴァイオリンの音色も。
2人の顔に驚愕の文字が浮かぶ。
水飛沫と、滝と、アクアが凍りついた。
中から出てきたジュリアも、ずぶ濡れだった。
「全く…派手に濡れたわ。ヴァイオリンが壊れたらどうする気よ」
「そんな…効いてない!?」
「だから言ってるでしょ
甘いのよ。攻撃の何もかもが」
「融合魔法、≪女王の絶対旋律(クイーン・クラシック)≫」
上から、氷、薔薇、水、獄炎の魔法陣が重なる。
ジュリアがヴァイオリンを構える。
「フィーラッッ!!戻って来いッ!!!」
マークが叫ぶ。“瞬間移動”でマークのもとに帰ってきたフィーラは≪聖天使の刃≫を発動。
だが、ジュリアの旋律の方が早かった。
美しい音色が、その場を包み込んだ。
蒼い眼を薄ら開けて、女王はこう言い放った。
「貴方達は私に一生勝てないでしょうよ」
爆発音にも近い音が轟いた。