二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: イナイレ 【薔薇の倉庫】 ( No.744 )
- 日時: 2011/05/23 21:59
- 名前: 薔薇結晶 (ID: fREd0x4b)
- 参照: http://bluerosebreak.blog.fc2.com/
『眼〜eyes〜』
——Z——
「≪荊の天罰≫」
静かに呟く。
すると地面からあり得ないくらいの速度で荊が伸びてきた。
だがサクラはそれを完全に切り裂いた。
「≪断罪樹・血染桜≫!」
エドガーを倒したその桜の樹を、ジュリアは“獄炎”で燃やし尽くした。
そしてまた剣と刀の勝負。
激しい金属音が鳴り響く。
サクラは険しい表情だが、ジュリアは1つとして表情を変えない。
「≪崩壊の紅焔≫」
紅黒の魔法陣がサクラの足元に展開される。
「≪純水樹・透水桜≫よ、私の周りに取り憑く炎を完全に消し去れ!」
「白き薔薇よ、彼の者の鮮血でその花弁を緋に染めなさい」
「っ!?」
ぶしゃっ、と、サクラの右足から血が噴き出す。
「≪神聖樹・純白桜≫っ、彼女の血を私の魔力へ変換して!!」
また、鮮血が飛び散った。
「≪純白桜≫なのに純白じゃないって…矛盾してるわ」
「そんな理屈はどうでもいいの。“神桜”は私が生み出す魔力の桜だから」
「…まぁ、私も人のことは言えないわね」
と言ってジュリアは緋に染まった薔薇を摘み取って、花びらを1枚口で銜えた。
すると緋が抜け、元の白の花びらへと戻り、ひらひらと地面へ落ちた。
「…と、まぁこんな感じで私も魔力を貯められるの」
「まるで吸血鬼…」
「魔族の血は魔力以外の何物でもないわ。って言うか、貴女も私の血を魔力に変換してるんだから、貴女だって吸血鬼でしょ」
うっ、と、言葉に詰まった。
そう言っている間にも、ジュリアは薔薇の花びらの血を吸い取っていた。
「っ…≪フローラル・ブレード≫ッッ!!」
「まだまだねぇ、≪氷海の津波≫」
氷の海が花びらを完全に凍てつかせた。
ふふふ、と不気味に、魔女のようにジュリアは笑う。
「くっ…!!」
「さぁて、貴女の桜の樹は何処まで耐えられるかしらァ?≪紅薔薇炎上≫ッッ!!」
これがファンタジーのRPGなら、今のジュリアは確実にラスボスの魔女だろう。
紅色の薔薇は炎と化し、サクラの樹をじわじわと焦がしていく。
「炭になったら最後は灰よ。……貴女の命と同じようにッッ!!!」
大気が震えた。
サクラは、ジュリアが見えたその瞬間に、『レイニー・ブラスター』を首の前あたりで受けた。
じりじりと、金属の擦れる音が鳴る。
だが、擦れているだけでは無かった。
「っ!?」
「気付くのが遅すぎたわね」
『レイニー・ブラスター』、正確に言えばジュリアの右腕から荊が伸びて来ていた。
その荊の先端は、サクラの左腕を絡みとっていた。
「終わりよ。覚悟なさい」
ジュリアがサクラの耳元で囁いた。
すると、地面から大量の荊が伸びてくる。凄まじい速さで。
「なっ…何ッッ!?」
「私が3年の時を費やして完成させた魔力吸収の魔法よ」
「く、……ぁっ…!!」
全身から力が抜けていく。同時に魔力も。
「まだ触れないでその振るえる指先は、花盗人の甘い躊躇い♪」
陽気に歌うジュリアの声。
そして、右手を思いっきり握りしめた。
「あぁあぁぁああぁぁぁぁああああぁぁぁあぁあああぁぁあッッッ!!!!」
激痛が全身を廻る。
すると、荊は鳥籠を模したように成形されていく。
「サクラ、貴女は私の魔力の糧になってもらうわ。その代り、フィディオは追放しないであげる」
クスクスと笑いながら、倒れているフィディオの元まで歩いていく。
「フィディオ、見なさい。彼女の姿を」
耳元でそう言った。
薄ら蒼い瞳を開けたフィディオは、サクラの姿を見て、絶句した。
「何…を…した…ッッ!!」
「私の養分になってもらったのよ。彼女以上に素晴らしい人材は居ないでしょうから」
「今…すぐ、に……」
「解放しろって?…貴方が言えるセリフではないわね」
「とりあえず、“神桜”はもらって行くわ」
そして大きな魔法陣を一瞬で展開し、何処かに消えてしまった。
「サク、ラ…ッ…!!サクラ…!!!」
必死に手を伸ばしても、彼女は戻ってこなかった。