二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: イナイレ 【薔薇の倉庫】 ( No.765 )
日時: 2011/07/11 16:28
名前: 薔薇結晶 (ID: eHv1NYKC)
参照: http://bluerosebreak.blog.fc2.com/

『眼〜eyes〜』

——AG——






「“二刀流”に…“狙撃手”だと…!?」

眼を見開く南沢。
彼女達は情報では≪Empress-s≫と≪Empress-b≫のはずだ。
その彼女達が。

ボロボロになるまでにやられている。


「誰がこんな事出来るんだ…、≪金眼≫か…?」
「いや、≪金眼≫は無理だと思う」

南沢の疑問に素早く対応したのは輝羅。
未来と過去を12層目の医療所に魔法陣で転送したところだった。

「何で言い切れる」
「あの傷は魔法による傷じゃない」
「だからって≪金眼≫じゃないとは言い切れないだろ」
「≪金眼≫は体術を使えない。武器を使えないから」
「…何処の情報だ」
「推測。情報じゃない」
「だったら≪金眼≫を除外する事は出来ない」
「出来る」

輝羅の眼が≪紅≫へと変化していた。
彼女が≪特殊≫の原因。それは≪感情による眼球の色の変化≫だ。


「≪金眼≫は病弱だって言う情報が1つだけある」
「…何故だ」
「私が産み落とされる1年前の事」
「つまり俺が産み落とされた年だ。で、何があった」
「1人、産み落とされる直前まで≪蕾≫の中で瀕死状態の魔族の女の子が居たらしいの」
「瀕死状態?しかも…≪蕾≫の中で…?」

基本、魔族の子供が生まれる場所は1層目と2層目の間に存在すると言う≪天鳥の巣≫と言う空間だ。
≪天鳥の巣≫には、子供を産むときだけ≪開花≫する、≪祝福子蝶≫と言う花が4つある。
その花は基本、≪蕾≫なのだ。
そして、魔族が産み落とされると、魔族の子供は各層に送られるのだ。

「その子は未だ見つかっていない」
「生まれた≪蕾≫は?」
「≪第2ノ蕾≫。私と同じ≪蕾≫」
「…隠れているだけ、ってのは無いのか?」
「無い。絶対に資料魔法陣に引っかかるはず」
「……そう言う事か。引っかからないのは…」
「≪金眼≫だけ」







「…≪金眼≫を≪黄≫の私と間違えるなんて。≪知識の宝庫≫って案外馬鹿なんじゃない?」

クスクスと笑い声がする。森の奥から。
それを輝羅は

     聞き逃さなかった。


「≪火炎石・ルビー≫ッッ!!!」

<<ゴオオォォオォォ>>


「お、おい!森を焼いて何になるんだ!!」
「犯人が居る!!」
「はぁ!?」
「聞こえたの!!!≪黄≫の魔族だよッ!!」

出てきなさい!と、大声で叫ぶ輝羅。
どうやら先ほどのセリフが彼女を怒らせたらしい。
すると、メラメラと燃え上がる炎が、異常なほどに形を変えた。

     輝羅の真後ろで。

炎は形をみるみると変え、人の形になった。
そして、輝羅の首をガッと掴んだ。

「ッ!?」
「輝羅っ!!!」

「…出てきたよ?で、なぁに…?」

と、嫌らしく聞く≪黄≫の魔族。女だ。
炎が消え、完全に人の形になった。

「…あ、なた……何、者…ッッ!?」

と、苦しそうに聞く輝羅。
南沢もその魔族の正体を知らないらしい。



「…別に答える必要はないでしょぉ…?」


そう言うと、少女は左手で魔法陣を展開した。
見た事もない紋章ばかりが並べられている。

「さぁて、“宝石魔女”達にはお人形になってもらいましょうか。…≪オウィディウス・ドール≫…!!」


人形に変わる前。輝羅は必死に目を開けて、少女を見た。
≪黄≫の魔族の筈なのに、右眼の色が違う。オッドアイだ。

少女は、≪黒≫と≪黄≫のオッドアイだったのだ。